ここ最近、中国の多くの地域が異常気象に見舞われています。中でも海南省の天候の変化は顕著で、半年以上も続いた深刻な干ばつ状態から一転し、記録的な大雨による大規模な冠水被害へと急変しました。4月24日から25日にかけて、海南島の一部地域では降水量が最大253.1ミリに達し、中国の気象基準で最高レベルとなる「特大暴雨」を記録しました。海口市では、わずか3時間で降水量が120ミリに達し、地元気象当局は緊急で暴雨警報を発令しています。瓊海(キョンハイ)市や文昌(ブンショウ)市なども例外ではなく、数時間の土砂降りで街全体が冠水する事態となりました。地元住民によると、水深は1メートル余りに達し、道路の冠水により交通は麻痺、歩道やバス停は完全に水に浸かり、学校のグラウンドまで池のように水没してしまうなど、市民の移動や生活に甚大な影響が出ています。
皮肉なことに、この大雨が降る前まで、海南省は長期にわたる高温と干ばつに直面していました。農地がひび割れるだけでなく、多くの貯水池も底をつきかけていたのです。地元住民は「あんなに長い間雨が降らず、地面もひび割れていたのに、少し大雨が降っただけでここまで浸水するなんて信じられません」と困惑しています。実は、この突如として発生した水害は、自然の降水だけでなく、現地で同時期に実施された人工降雨作業とも密接に関係していると言われています。長引く干ばつを和らげるため、文昌、屯昌、澄邁(チョンマイ)、白沙(ハクサ)などの気象部門は、気象条件を観察した上で24日に人工降雨を実施しました。公式発表ではこれにより干ばつは大幅に緩和されたとしていますが、中央気象台はすでに同地域で大雨になるという予報を出していました。強い降水雲が存在する中で人工降雨を行ったことが、直接的に文昌の一部地域の降水量を243ミリという極端なレベルまで引き上げたと考えられています。市民の間からは、このタイミングが重なった人為的な介入が裏目に出たことで、かえって水害を悪化させたのではないかという疑問の声が上がっています。
海南省で見られた「干ばつから一転しての洪水」は、最近の中国大陸における異常気象の縮図に過ぎません。全国を見渡すと、深刻な水不足に悩む地域がある一方で、水害に苦しむ地域もあるといった、両極端な気象現象が各地で起きています。南部では、海南省と同じく多雨に見舞われている湖南省において、連月の降水により地元農民が苦境に立たされており、畑の野菜は水浸しになって全滅しました。一方で広東省の一部地域では深刻な水不足に陥り、干ばつで農地の耕作ができず、トウモロコシが枯死しています。これと同時に、極端に強い対流活動による悪天候も各地で猛威を振るっています。貴州省が歴史的な大粒の雹(ひょう)と強風に襲われたのに続き、雲南省昆明市などでも突如として激しい雹が降り、果樹園が甚大な被害を受けたほか、今後も雷や強風などの悪天候が続くと見られています。さらに、北方の黒竜江省大興安嶺地区では、雪が解けて1週間も経たない4月下旬に再び大雪が降り、春の種まきが無期限で延期されるなど、農民たちは種をまけない農地を前に途方に暮れています。
各地で相次ぐ異常気象に対し、気象当局は地球規模の気候変動という観点から説明を行っています。中国国家気象センターの予測によると、今年5月に本格的なエルニーニョ現象に突入し、夏から秋にかけて中等度以上のエルニーニョ現象が形成される見通しです。このエルニーニョ現象の最大の特徴は、赤道付近の中東部太平洋における海面水温の異常かつ持続的な上昇にあります。通常は強い貿易風が暖かい海水を西太平洋へと吹き寄せますが、エルニーニョの年にはこの貿易風が弱まり、暖かい海水が東へと逆流するため、太平洋中東部の水温が異常に上昇します。この広大な海域での熱バランスの崩れは、まるでドミノ倒しのように、大気循環の正常なリズムを直接的に狂わせるのです。
気象の歴史を紐解くと、強いエルニーニョ現象はしばしば甚大な自然災害を伴ってきました。ここ数十年で最も有名な2つの「スーパーエルニーニョ」の年が、1998年と2016年です。中国では、1998年に長江流域で発生した特大洪水を鮮明に記憶している人も少なくありません。数ヶ月にわたって続いたあの水害は、中国南方に計り知れない人的・物的被害をもたらしました。そして2016年、エルニーニョ現象は再び中国各地に深刻な洪水をもたらしただけでなく、世界規模で極端な熱波を引き起こし、この年を気象観測史上最も暑い1年にしました。
実際のところ、エルニーニョの影響は中国国内に留まることはなく、正真正銘の地球規模の気候変動を引き起こします。南米沿岸に豪雨の被害をもたらす一方で、太平洋の対岸地域からは容赦なく雨を奪い去ってしまいます。数ヶ月間燃え続け世界的な注目を集めたオーストラリアの大規模な森林火災も、その一例と言えます。火災の原因は複雑に絡み合っていますが、エルニーニョがもたらした干ばつと少雨が、オーストラリアを極度に乾燥した状態へと変えた元凶の一つです。エルニーニョのメカニズムの下では、本来オーストラリアや東南アジアに降るはずの雨が、暖かい海水の東進に伴ってアメリカ大陸へと運ばれてしまいます。これにより、オーストラリアは長期にわたり極端な乾燥と高温状態に置かれ、森林は非常に燃えやすくなり、ひとたび火がつけば野火のように広がり、長期間にわたって消火が困難な事態となるのです。
今、赤道付近の海面水温は再び異常な上昇傾向を示しています。様々な気象の前兆は、前述の海南省の冠水、湖南省の長雨、雲南省の雹、そして東北地方の大雪などが、今年の気候変動の序幕に過ぎない可能性を示唆しています。今後しばらくの間、南部では水害、北部では干ばつといった極端な天候パターンがさらに激化する恐れがあります。異常高温やそれに伴う病虫害などの問題は、都市インフラの排水能力や緊急対応能力への試練となるだけでなく、農業生産や食糧安全保障、さらには人々の生活環境に対する深刻な脅威となる見込みです。
(翻訳・吉原木子)
