4月27日、中国南部の広西チワン族自治区欽州(きんしゅう)市は、極めて稀な豪雨に見舞われました。気象当局の観測によりますと、現地で最高レベルの「暴雨赤色警報」が発令されただけでなく、今年に入ってから中国全土にある2418カ所の国家級気象観測所で初めて「特大暴雨(猛烈な雨)」が記録されました。データによると、わずか3時間の間に市内の複数の観測所で降水量が100ミリを超え、中でも久隆鎮という地域では246.2ミリに達しました。さらに、長田街道地区で134ミリ、南珠街道地区で124.4ミリという驚異的な雨量を記録しています。

 猛烈な雨により、欽州市内の複数のエリアで深刻な冠水が発生し、都市交通はほぼ麻痺状態に陥りました。道路や駐車場は瞬く間に水没し、まるで川のような有様へと変貌しました。市内の複数の幹線道路の低くなった場所では、水深が大人の膝を超えるだけでなく、路肩にあるシェアサイクルのサドルが浸かるほどの高さに達しました。一部の地域では短時間で水位が50センチ以上も上昇し、住民は水の中を歩いて移動せざるを得ない状況となりました。ある広場では、行き場を失った大量の雨水が囲いを突き破って滝のような濁流となり、プレハブ小屋を一瞬にして押し流すなど、豪雨の破壊力をまざまざと見せつけました。

 また、深刻な冠水は、屋外に駐車されていた大量の車両にも甚大な被害をもたらしました。欽北区にあるマンション「敏捷瓏玥湾」の付近は周囲より低くなっているため、普段から市民が駐車場として利用している空き地で被害が拡大しました。付近の商店主の話では、大雨が降るたびにここは水が溜まりやすく、今回は少なくとも数十台の車が完全に水没したということです。あるSUVの持ち主は、「普段はマンションの駐車場に停めていますが、26日の夜は急用で路肩の空き地に停めていました。まさか一番深いところでサイドミラーまで浸かるとは思いませんでした」と肩を落として語っていました。マンションの管理会社の早期対応のおかげで、車庫内の車両の多くは無事でした。一方で、他のマンションの一部では地下駐車場に雨水が流れ込む被害も起きましたが、幸いにも管理会社と住民が連携し、迅速に車両を移動させることができた模様です。

 その日の夜、雨が小降りになるにつれて道路の冠水は徐々に引き始めましたが、多くの車のボンネットには泥水に浸かった痕跡がくっきりと残っていました。現場では複数のレッカー車が慌ただしく作業にあたり、わずか数時間で10台以上の水没車を移動させていきました。深刻な水害リスクを受け、欽州市の応急管理当局は全面的に緊急対応策を発動させ、緊急措置として一部の学校で半日の休校を決定しました。現在のところ、重大な事故などの報告は入っていないということです。

 しかし、このバケツをひっくり返したような豪雨は、単なる自然の猛威というだけでなく、都市インフラの脆さを浮き彫りにする試練のようでもありました。実際、中国の多くの都市では、大雨が降るたびに深刻な冠水被害に悩まされています。急速な都市化に伴い、広大な湖や湿地といった「自然のスポンジ」の役割を果たす土地が、水を通さないコンクリートやアスファルトに次々と置き換えられ、地表の貯水能力や排水能力が大幅に低下しているためです。さらに根本的な原因として、都市開発の初期段階において、目に見える地上部分の建設が優先され、地下の排水設備の整備が後回しにされてきた背景があります。地下の下水道網は設計基準が低いうえに老朽化も進んでおり、その排水能力は都市の急拡大や昨今の極端な豪雨に到底追いついていません。ひとたび短時間で猛烈な雨が降ると、雨水が速やかに地下へ排出されず、都市の冠水は根治が難しい慢性的な問題となっています。

 また、都市インフラの問題だけでなく、気候変動というマクロな視点から見ても、今回の欽州市の豪雨は無視できない警鐘と言えます。地球温暖化という大きな流れにエルニーニョ現象の影響が重なり、地球規模で大気循環に異常が生じている結果、大気中の水蒸気量が増加し、極めて不安定な状態になっています。気象専門家は、例年であれば穏やかな春の雨が降る時期である4月に、観測記録を塗り替えるほどの極端な豪雨が発生したことについて、非常に異常で危険な気候変動のシグナルであると指摘しています。

 これはもしかすると、今回の豪雨が今年起こりうる災害の単なる前触れに過ぎないことを意味しているのかもしれません。これから本格的な夏や台風シーズンを迎えるにあたり、懸念される被害は局地的な水害にとどまらない可能性があります。エルニーニョ現象の余波と海水温の上昇という二重の影響により、中国の多くの地域で、進路の予測が難しい強力な台風や極端な豪雨、さらにはそれに伴う深刻な土砂災害などに見舞われるリスクが非常に高いと予測されています。大自然がもたらすこうした異常気象を前に、都市の排水システムの近代化や、防災・減災に向けた社会全体の体制づくりが、今後の急務として浮かび上がっています。

(翻訳・吉原木子)