(pixnio, CC0)

 最近、複数の西側メディアが、イスラエルの情報機関モサドがイラン最高指導者ハメネイに対して実施した精密攻撃の詳細を報じ、現代戦争の形態について世界的な再考を促しています。

 英国紙『フィナンシャル・タイムズ』の報道によると、モサドは数年前からサイバー侵入を通じて、イランの首都テヘランに設置された多数の交通監視カメラへのアクセス権を獲得していました。本来はイラン国民を監視するための装置が、結果的にモサドがハメネイとその警護チームを監視する「目」となり、最終的に標的の特定と精密攻撃の実施に利用されました。

 報道によると、モサドはこれらのカメラを用いて、警護員の通勤パターンや車両の変更頻度、日常的な駐車位置などを継続的に追跡しました。また、「ソーシャルネットワーク分析」と呼ばれる数学モデルを用い、膨大な映像データや通信データを分析することで、警護員の住所や勤務シフト、さらには上層部の行動軌跡まで含む精密なデータベースを構築しました。イスラエル当局者は「テヘランに対する理解度はエルサレムに劣らない」と率直に語っています。

 作戦当日、モサドはまずハメネイの居住区域に対して電子妨害を実施し、通信基地局の信号を遮断して警護チームへの警告伝達を妨害しました。その後、リアルタイム映像と携帯電話の信号を照合して、ハメネイが会議を行っていた住宅を特定し、数分後イスラエルの戦闘機が約30発のミサイルを発射し、同地点を攻撃しました。この攻撃により、ハメネイは死亡したと報じられています。

 この報道を受け、インターネット上では「イラン国民は中国製の監視カメラに感謝すべきだ」「習近平がこれを聞いたら、全国の監視カメラの撤去を命じるのではないか」といった皮肉のコメントが飛び交いました。

 米国の飛天大学の章天亮教授は、自身のメディア番組の中で、米国とイスラエルによる今回のイラン攻撃を体系的に分析し、この作戦を技術面での「戦争革命」と表現しました。現代戦争における決定的な優位性は、従来の火力規模ではなく、データ支配、アルゴリズムによるモデリング、そしてネットワーク侵入能力へと移行していると指摘しています。

 章氏は情報戦の観点から、「意思決定プロセス全体がアルゴリズムによって駆動されるようになった。かつては数か月かかっていた人的分析が、現在では数秒で完了する」と述べました。

 皮肉なことに、今回イラン政府の安全上の弱点となったこれらの監視システムの多くは、近年イラン政府自身が社会統制を強化し、デモ参加者を特定するために整備してきたものです。2022年の抗議運動以降、イランは反体制活動の抑圧を目的として、中国製の監視機器を大量に輸入してきました。

 章氏は、国内統制の強化を目的として構築されたこうしたシステムが、サイバー戦争の環境下では致命的なリスクを露呈させる可能性があると指摘します。中核ネットワークが一度侵入されれば、国家全体の安全システムが「透明化」してしまう危険があるというのです。章氏は「もし北京などの都市の監視カメラがハッキングされれば、習近平の動向さえ米国やイスラエルに把握される可能性がある」と述べました。

 現在、中国は世界最大規模の監視ネットワークを保有し、監視カメラの総数は約5億〜6億台と推計されています。これは世界全体の半数以上を占める規模です。人口比で見ると、中国では平均して2人に1台のカメラが設置されており、世界でも最も監視密度の高い国の一つとなっています。特に北京や重慶などの都市では、その密度は世界トップクラスとされています。

 これらの監視カメラは、中国政府が「天網工程」と呼ぶ大規模監視システムを構成しています。監視の範囲は都市の道路、住宅コミュニティ、商業施設、さらには農村地域にまで及びます。このうち2億台以上が警察システムに直接接続されており、社会活動のリアルタイム監視に利用されています。

(翻訳・慎吾)