先日、米軍とイスラエル軍による空爆で、イランの最高指導者ハメネイ師および複数の高官が死亡しました。中東を震撼させたこの軍事行動は各方面で事実として確認され、イラン政府が公式に認めた後、中国の国営メディアである中国中央テレビ(CCTV)も訃報を報じました。関係筋によれば、ハメネイ師の娘、娘婿、そして孫も攻撃で死亡したとのことです。

 中国政府は空爆を非難しましたが、イラン国営メディアのSNSコメント欄では、中国政府の見解とは全く異なる世論の声が上がっています。多くの中国人ネットユーザーの書き込みには、イラン国民が新たな転機を迎えたことを祝うコメントさえ見られました。「世界中が祝うべきだ」「女性の解放を祝う」といった声が相次いでいます。米とイスラエルの精密な打撃手段に驚嘆する一方で、自国の特権階級への不満を募らせる人も少なくありません。

 さらに、かつての自由な時代を知るイランの年配者たちの悲しみ、泣き崩れる受け止め方は、国内の分断を拡大させる可能性があると指摘する声も上がっています。

 議論は次に激変に直面する国はどこかにまで及び、特定の体制下における市民の変革への渇望はいかに強いものかと感慨深げに語る書き込みも見られました。

 こうした中、ある歴史的な偶然の一致が話題になりました。著名なブロガーが、ハメネイ師の最高指導者就任日が奇しくも1989年6月4日、天安門事件が発生した日であったことに言及したのです。

 この特別な日にちは多くの中国人ネットユーザーに深い感慨を抱かせ、30年以上の長い悪夢がついに幕を閉じたと語る人もいます。

 ハメネイ氏が執政した37年間、その強硬路線は多くの悲劇を生みました。「グリーン運動」の徹底弾圧から、メディア統制、宗教法令による女性の権利制限、そして中東紛争への介入に至るまで、国民の声を黙殺する独裁体制は、国内に深刻な不満を蓄積させていたのです。

 イランの権力中枢の崩壊は、中東における地政学的な激震であるだけでなく、中国の経済と世界戦略にも直接的な打撃を与えています。

 ある海外の時事評論家は、今回の事態が現在のアメリカ政権のより深い戦略的思惑を反映しているようだと分析しています。

 ベネズエラから今回のイランに至るまで、こうしたアメリカの政策的な動きは、中国のエネルギーサプライチェーンの急所を強く突いています。

 長期にわたり、中国はイランなどから格安で輸入する石油に依存してきました。もしこのエネルギー供給ルートが絶たれれば、関連するコストは必然的に上昇し、さらに広範な産業チェーンへと影響が波及する可能性があります。現在、アメリカのエネルギー開発の拡大、および世界のエネルギー構造の変革と成長に伴い、大国間のパワーバランスに変化が生じつつあります。アメリカが国際社会で示す強硬な姿勢は、近年国際舞台で積極的な展開を見せてきた中国に対し、より厳しい試練をもたらしています。

 注目すべきは、今回の中東情勢が急変する直前、本来であれば大いに注目を集めるはずだった中国、ロシア、イランによる海上合同軍事演習においても、異例の事態が生じていたことです。これまで、国際社会は中国とイランの防衛分野における協力的な動き、最新鋭兵器の取引や衛星データの共有などに広く注目しており、これが双方の戦略的な関係強化を示すものだと捉えていました。当初の計画によれば、中国、ロシア、イランの三国は今年2月中旬、ホルムズ海峡付近で「海洋安全ベルト2026」と題する合同軍事演習を行う予定でした。ロシア側はすでに演習の開始を大々的に発表しており、イランとロシアの軍艦も所定の位置につき、中国艦隊の合流を待っていました。

 しかし、米軍の空母打撃群2隻がアラビア海方面に集結し、地域の緊張状態が急激に高まる中、本来アデン湾で任務に就いており、演習海域からさほど遠くない場所にいた中国海軍第48次護衛艦隊は、最終的に姿を見せませんでした。2月19日の演習開始時、中国の軍艦は結局参加することはありませんでした。その後、国営メディアの新華社は報道において、この予定されていた三カ国合同演習を「イランとロシア海軍の合同海上演習」と控えめに表現しました。本来の演習名に言及しなかっただけでなく、中国艦隊の欠席についても多くを説明せず、三カ国合同による演習をまるで最初から二国間演習であったかのように矮小化して報じたのです。

 これに対し、ある評論家は、中国が周辺海域で強硬な姿勢を示す理由の一部は、国民の国内に対する不満から目をそらさせ、ガス抜きを図ることにあるのかもしれないと分析しています。

 しかし、圧倒的な軍事的優位性を持ち、かつ直接的な軍事衝突を引き起こしやすい敏感な海域においては、中国の戦略的選択は極めて慎重かつ現実的なものに切り変わります。重大な国家安全保障と地政学的リスクが絡む局面に立たされれば、いわゆる戦略的なパートナーシップや大国としての責任よりも、危機回避を優先せざるを得ません。その為、大国間の軍事対立に直接巻き込まれる事態を避けることが、最優先の選択となったのです。このような決定的な瞬間における戦略的後退は、複雑な国際社会の駆け引きの中での中国指導部の危機回避を最優先する意図を反映しています。ハメネイ氏の死亡は、、中東の権力構造を大きく揺るがすだけでなく、今後の世界情勢を見通す上で極めて重要な示唆を与えています。 

(翻訳・吉原木子)