2026年の旧正月。年に一度、世界最大規模の人口移動といわれる「春運」が、再び中国全土で始まっています。しかし、今年の鉄道運行状況は、見る者に複雑な感情を抱かせずにはいられません。

 最新鋭の高速鉄道では空席が目立ち、車両によっては、数えるほどの乗客しか乗っていません。その一方で、かつての主力だった緑色の車体の旧式列車、通称「緑皮車」は、足の踏み場もないほどの混雑ぶりです。通路や車両の連結部、さらにはトイレの入り口まで、家路を急ぐ人々で隙間なく埋め尽くされています。

 少しでも交通費を浮かせようと、多くの出稼ぎ労働者たちは、座席のない「立ち席券」しか手に入らなくても迷わず列車に乗り込みます。ある者は一晩中立ち続け、ある者は狭苦しい通路にダンボールを敷いて、その場に体を丸めて眠ります。あるネットユーザーは動画を撮影しながら嘆きました。「10年前もこの光景だったが、10年経っても何も変わっていない。」自家用車や高速鉄道が疾走する現代において、この緑色の列車の車内だけが、まるで時代から取り残されているようです。この強烈なコントラストは、ネット上で大きな議論を呼びました。高速鉄道網がこれほど発達した今日において、なぜ数え切れないほどの人々が、長時間にわたる混雑と疲労に耐えることを選ぶのでしょうか。その答えはあまりにも現実的であり、かつ切実です。「お金がないから」です。しかし、伸び悩む収入と高騰する生活コストが、彼らに極めて貧しく、つましい生活を送ることような節約を強いているのです。

 広東省の東莞から河南省の信陽へ帰る場合、高速鉄道の二等席は約1万円(500元)超え、所要時間はわずか3時間です。一方、旧式列車の三段式寝台「硬臥」は約3600円(約180元)で済みますが、その代償として14時間もの揺れに耐えなければなりません。しかし、この約7000円(300元)余りの差額は決して小さくありません。故郷で待つ年老いた両親に暖かい防寒着を買ったり、子供に箱いっぱいのお菓子やおもちゃを買ってあげる。それほど重みのある金額なのです。生きるというプレッシャーの前で、「体面」よりも「実利」を取らざるを得ないのが現実です。

 さらに、広東省と広西チワン族自治区の境界にある国道で、ある光景が見られました。かつて話題となった、バイクで帰省する集団「バイク軍団」という言葉は、すでに主流メディアからは消えつつあります。しかし2026年の寒風の中には、依然として孤独で、強情なまでにそのスタイルを貫く彼らの姿がありました。

 彼らは時速350キロで走る高速鉄道を選びません。妻や子供を背中に縛り付け、足には寒さを防ぐために分厚いビニール袋を何重にも巻き、刺すような冷たい風に逆らって数百キロの道のりを走り続けます。彼らにとって、数千円(数百元)の高速鉄道のチケット代は、子供の一学期分の給食費に相当する大金かもしれないのです。科学技術の進歩は交通により物理的な距離を縮めましたが、彼らの経済的な問題という溝を埋めることはできませんでした。彼らは最も原始的で、最も痛みを伴う方法で、必死に進んでいるのです。

 同様の光景は、四川省の大涼山の奥深くでも起きています。そこでは、5633/5634便という旧式の鈍行列車が、今も険しい山々の間をゆっくりと走っています。この列車の車内は人で溢れているだけではありません。村人たちが市場で売るために持ち込んだ鶏やアヒル、ガチョウ、さらには豚や羊の群れまでが、乗客と肩を並べています。運賃は数十年の間、最低約40円(2元)に据え置かれ、沿線に住むイ族の人々の生命線となっています。窓の外を最新の高速鉄道が轟音と共に駆け抜けます。同じ国、同じ時代でありながら、ある者は5Gの未来に生き、ある者は生きるために20年前の生活様式を守らざるを得ないのです。

 2026年の鉄道ダイヤ改正後、広州などの大都市では、こうした旧式列車が市内中心部から離れた不便な場所へと移転されました。乗車はより不便になったにもかかわらず、これらの格安チケットは依然として入手困難です。

 こうした一連の光景の背後には、より深刻な経済状況があります。中国共産党中央党校の元教授である周天勇氏は警告を発しています。「実質的な市場化改革が進まなければ、中国の将来の潜在経済成長率は2.5%前後まで滑り落ちる可能性がある。」供給側のミスマッチと需要側の消費低迷が悪循環を形成しており、特に膨大な農村・出稼ぎ層が工業化の恩恵を真に享受できていないことが、消費を長期にわたって抑制しているのです。

 専門家が指摘するように、体制の硬直化を打破し、住民の所得を切実に向上させることこそが、この難問を解く唯一の鍵です。ですがそれは、現時点において最も触れることが困難な核心的問題でもあるのです。

(翻訳・吉原木子)