アメリカ・ホワイトハウスは最近、トランプ大統領が署名した声明を公表し、66の国際機関からの脱退を決定したと発表した。この決定は世界的な注目を集め、トランプ政権の「アメリカ・ファースト」政策が新たな局面に入った象徴的な動きと受け止められている。
一方、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、国連が深刻な財政危機に直面しており、資金が7月末までに枯渇する可能性があると警告した。これら二つの動きは、国際的な多国間システムが抱える構造的な危機を浮き彫りにしている。
トランプ政権の「脱退」規模は前例なし
ホワイトハウスの声明によると、今回脱退対象となった組織は広範な分野に及び、国連教育科学文化機関(UNESCO)、世界保健機関(WHO)の一部関連機関、さらにはパリ協定に関連する非国連系組織などが含まれている。
トランプ政権は、これらの機関はもはや中立的な技術調整の場ではなく、特定のイデオロギーに偏った存在になっていると指摘した。政権発足以降、アメリカはイラン核合意やパリ協定などから相次いで離脱してきたが、今回のような大規模な脱退は、国際システム全体を根本から見直す姿勢を示すものといえる。
盛雪氏:戦後国際秩序に内在する構造的欠陥
カナダ在住の時事評論家・盛雪(Sheng Xue)氏は、今回の動きはアメリカによる第二次世界大戦後の国際秩序に対する「必要な再編」だとの見方を示す。彼女は、戦後に構築された国連システムには本質的な構造欠陥があると指摘している。
具体的には、共産主義体制による暴政を主権国家として承認・尊重する枠組みが存在すること、さらにテロ勢力の拡大や人道犯罪を防止する実効的な制度が欠如している点を問題視する。
盛雪氏は、ソ連崩壊以降、国連は重大な人道的惨事をほとんど阻止できていないと批判する。ルワンダやダルフールでのジェノサイド、中国国内におけるウイグル人やチベット人への迫害などに対し、国連は有効な対応を取れず、長期間沈黙を続けてきたと述べる。
特に彼女は、国連がすでに中国共産党政権によって深く浸透されていると強調する。国連の公式ウェブサイトには、経済、人権、平和維持といった分野で中国体制を正当化、さらには称賛する内容が数多く掲載されているという。
盛雪氏は、トランプ氏の手法は「30年遅れのグローバル秩序修正」だと位置づける。近年、国際機関は本来中立であるべき立場を失い、イデオロギー優先の政策推進、急進的な気候政策、特定のグローバル・ガバナンスモデルを「政治的正しさ」として加盟国に押し付けてきたと指摘する。
また、中国共産党は国連内での活動に長け、資金援助を通じてアフリカや南米の貧困国の票を取り込んできたとされる。アメリカが国連通常予算の20~30%を負担しているにもかかわらず、「一国一票」の制度の下で発言力が独裁国家に相対的に奪われている状況は、不公正だと批判する。
盛雪氏は、現在の国連システムは「法を守る者が罰せられ、破壊者が報われる」構造に陥っていると断じている。
深刻化する国連の正当性と財政の危機
アメリカによる国連関連機関からの相次ぐ離脱と並行して、国連の財政危機は一気に表面化した。グテーレス事務総長は1月28日、加盟国宛ての書簡で、国連が財政崩壊の瀬戸際にあり、現金が7月末までに底を突く恐れがあると警告した。
AFP通信によると、複数の加盟国が分担金を全額、あるいは期限内に支払っていないため、国連は慢性的な資金不足に直面しており、人員採用の凍結や支出削減を余儀なくされている。国連副報道官のファルハン・ハク氏も記者会見で、未使用資金の返還問題などが財政をさらに圧迫していると説明した。
グテーレス氏の呼びかけに対し、日本やドイツは期限内の支払いを表明したが、主要な滞納国とされるブラジルやインドなどは、依然として明確な姿勢を示していない。国連予算は世界のGDPの約0.01%に過ぎず、少数の先進国の拠出に大きく依存している。2025年には、アメリカが通常予算の22%、平和維持活動予算の28%を負担している。
さらに、国連安全保障理事会は、アメリカ、ロシア、中国という三大常任理事国の対立激化により、事実上の機能不全に陥っている。こうした中、トランプ氏は1月、新たに「平和評議会(Board of Peace)」を設立し、自ら議長に就任した。この組織は、国連に代わる、あるいは対抗する枠組みとして外部から注目されている。
盛雪氏は、トランプ氏が国際協力そのものを否定しているわけではないと強調する。協力は自由民主主義国家の意思に基づき、透明性と責任追及が可能でなければならないという立場だという。アメリカが脱退した国際機関は、改革不能で責任の所在も曖昧な組織であり、行動を起こさなければ、国際機関は中国、ロシア、イランなどに支配され続け、世界秩序の混乱を招くと警鐘を鳴らしている。
(翻訳・慎吾)

