左から、キッシンジャー、周恩来及び毛沢東(1972年)(イメージ:パブリック・ドメイン)

 元ホワイトハウス首席戦略官兼上級顧問のスティーブン・バノン氏は最近、あるテレビ番組で、元米国務長官のキッシンジャー(Henry Kissinger)氏を厳しく批判し、過去50年間、キッシンジャー氏をはじめとする政界のエリートやウォール街の集団が、利益のために中国共産党に屈服していた事を暴露した。バノン氏は、キッシンジャー氏を皮切りに、今後、徐々に真実を明らかにしていくと語った。

 バノン氏は「キッシンジャーさん、あなたの“自由な世界秩序”の話はもう聞きたくありません!あなたは罪深い。あなたはベトナム戦争の砲火でその両手を血まみれにした。それだけではなく、当初から中国共産党のスポークスマンだったあなたは、ずっと中国共産党から血にまみれた金を得ていた。中国共産党は何十年にもわたってあなたにお金を渡してきた。それら全てが明らかになるでしょう!」と直接キッシンジャー氏を非難した。

 中国共産党と取引きしたウォール街の集団や大手企業、中国共産党と協力したシンクタンクが得ていたのは、血まみれの金だった事が、全て明らかになるだろう。「世界はあなた達を審判する。あなた達のした事は悪魔のようだが、実際にはあなた達は悪魔より酷い!」

 「あなた達は、中国共産党が法輪功を迫害し、生きたまま臓器を摘出していることを知っている。中国共産党がウイグル人を迫害し、ダライ・ラマやチベット仏教を迫害し、カトリック、キリスト教を迫害したことも知っており、六四天安門事件の真実も知っている!」と述べた。

 バノン氏は又、「彼らは中国共産党の圧制の下で自由のために戦った人々が経験した苦難を良く知っているが、彼ら自身は中国共産党独裁政権に屈服して“両手を血まみれにした!”」と語った。

 彼は番組の中で、「私は人生の最後の瞬間まで、あなた達と戦い真実を暴露します。先ずはキッシンジャー氏から始めます!」と約束し
 「これは人種差別ではなく中国共産党政権を狙ったものである。『我々は中国人民の自由のために戦う!』中国共産党という悪魔の支配下に住む中国人民は、最も直接的な被害者だ!
 数十年来、人々はずっと(この問題を)避けている。なぜ避けなければならないのか?お金のため!?ミシガン州やペンシルバニア州の労働者より、中国の奴隷労働者を雇用すれば大きな利益を得るからだ!」と述べた。

キッシンジャー氏のプロフィール

 元国家安全保障問題担当大統領補佐官のキッシンジャー氏は、後に、ニクソン政権の国務長官を務め、ウォーターゲート事件後、フォード政権でも同職を続けた。

 1989年、キッシンジャーは日本の“読売新聞”と西ドイツの日刊新聞“ディ・ヴェルト”に「天安門事件は内政問題だ」「米国は中国を諦められない」とそれぞれ記事を掲載した。キッシンジャー氏は、中共が六四天安門事件の危機を無事に乗り切ることができた要因の一つとなった。

 1982年、米国の大企業の海外開拓のための政策コンサルティングを主要業務とする会社“Kissinger Associates,Inc.(KAI)”を設立し、英米要人と多国籍企業家を網羅した。この会社の最も主要な業務は顧客企業の中国での業務開拓を助けることで、KAIの顧客の90%は中国と取引する欧米企業だった。

 KAIの得意先には有名な企業が多く、『モルガン・チェース』『アメリカン・エキスプレス』『AIG』『コカコーラ』『GTE』『ハインツ』『ボーイング』『韓国大宇財閥』『メルク・アンド・カンパニー』『フリーポート・マクモラン』『スタンダードチャータード銀行』『エリクソン』『Bell Telephone Company』『ボルボ』等がよく知られている。

 キッシンジャー氏は中国共産党四世代の全ての指導者が接見した唯一の外国要人である。50年間、中国共産党指導部は彼を「中国人民の古い友人」と見てきた。

 郭文貴氏のサイト“Gnews.org”は、「キッシンジャー氏と彼を代表する勢力が構築した過去50年間の世界秩序は、中国とアメリカを中心としたものである。正にこの古い世界秩序での外交関係、価値観、世界観の定義を伴って、米国に支えられた中国共産党は、一歩ずつ拡大してきた」と指摘した。

(翻訳・柳生和樹)