近年、中国各地で、一般市民が公共の場で中国共産党や最高指導者の習近平を公然と罵倒する出来事が相次いで起きています。関連動画や投稿がSNSで拡散されています。

 最近、広東省広州市北京路の商業エリアで撮影された動画がネット上で注目を集めました。動画には、複数の警察官が現場で取り締まりをしている様子が映っています。上半身裸の若い男性は両手を後ろに縛られ、すでに制圧されたようにも見えます。連行される途中、男性は強い興奮状態で、見物人に向かって「貧しい者の命は命じゃないのか、そうだろ?」と叫び、中国共産党を罵倒しました。

 動画の字幕はロシア語で、撮影者は広州市を旅行中のロシア人観光客ではないかと推測されています。現場には足を止めて見守る人が大勢いて、近くにはピンクのワンピースを着た若い女性の姿も確認でき、男性と一緒にいたようにも見えます。地面には衣類のようなものが散らばっていました。こうした動画はすぐにSNS上で広まり、話題となっています。

 コメント欄では、支持や共感の声が殺到しています。
 「多くの人の本音を代弁した」
 「ついに公の場で言う人が出た」
 「危険すぎる」
 「若いから無鉄砲だ」

 経済的な重圧や生活苦が限界に達した末の感情の爆発だと受け止め、「暮らしが困窮している現実がそのまま出た」と解釈するコメントもありました。

 元の動画はその後、一部のプラットフォームで削除されたとされますが、スクリーンショットや転載は別のSNS経由で今も流れ続けています。
2025年12月には、上海の地下鉄7号線で撮影されたとされる動画では、車内で女性が行ったり来たりしながら、大声で「(中国)共産党を打倒しろ」と叫ぶ様子が映っています。

 この動画は投稿後、急速に拡散しましたが、ほどなく削除されました。上海のネットユーザーの中には、「車内のほかの乗客は誰も止めようとしなかった」、「彼女は、多くの人が怖くて言えないことを口にした」などの声が寄せられました。

 ネット上の別の動画では、北京の天安門広場で、女性が観光客に向けて手を挙げ、反対のスローガンを叫んだあと、複数の警察官に連行される場面が映っています。

 さらに、異なる都市部の路上や市場、団地の出入口などで、高齢者や若者が公の場で中国共産党や習近平を罵倒する場面が映っています。中には訴状のような書類やプラカードを手にし、「家族が拘束された」「死亡した経緯がはっきりしない」「自分が不当な扱いを受けた」といった事情を訴える人もいます。

 特に広く出回った動画の一つでは、女性が路上に立ち、上を向いて叫びながら習近平を名指しし、父親が長年獄中で拘束され、今も死因が分からないと語っています。感情が高ぶって声はかすれ、強い動揺が伝わる内容でした。

 別の場面では、若い男性が団地の入り口に座り込んだまま、見物人や警備員に向かって習近平を激しく罵倒し、精神的に追い詰められているようにも見えます。

 こうした動画はネット上で強い反響を呼び、公の場で不満を口にする人が、もはや特定の年齢層や社会階層に限られなくなっています。

 また、経済的な苦境に関連する個人の体験談も、ネット上で絶えず増えています。配達員、失業者、自営業者などが、自撮り動画や文章で日々の暮らしを記録し、配達注文が激減したこと、収入が下がったこと、寒い夜に路上で過ごすこと、ゴミ箱をあさる場面などを語っています。「必死に頑張っているのに、出口が見えない」と言う人もいれば、「一時は死にたいと思った」と打ち明ける人もいました。

 昆明市や西安市、上海などでは、ネットユーザーが「商業施設が閑散としている」「通りに人がいない。以前はにぎわっていた繁華街が今はひっそりしている」と嘆く声も出ています。路上で寝泊まりする人が目立つようになったという話題も、各地で繰り返し注目を集めています。

 こうした語りの中で、生活への不満は最終的に制度そのものへ向かうことが多いです。一部のネットユーザーは、住宅価格、医療、教育、雇用といった問題が長年積み重なり、個人の力ではもう受け止めきれないところまで来ていると指摘します。一方で、当局が繰り返す「景気は良い方向に向かっている」という語りは、普通の人が肌で感じる現実と大きく食い違っている、という見方も根強いです。

 このズレが広がるほど、感情的で、時に過激な言葉が出やすくなり、比喩や皮肉、あるいは名指しといった形で拡散していく状況が生まれています。

 Xでは、「三字临虚」を名乗るアカウントが長文の評論を投稿し、いま社会の不満が強まっている背景として、中国共産党による長年の強権的な統治と、組織的な虚偽の積み重ねを挙げました。投稿は歴史や宗教の比喩も交えながら、中国共産党の正統性そのものを全面的に否定しています。さらに、国民の「覚醒」は自分たちを守るための行動だと位置づけ、「正義」と「良心」を選ぶべきだと強調しました。そのうえで、すでに数億人が中国共産党および関連組織からの脱退を宣言した、とも述べています。

 学者やアナリストは、中国で政権を公然と罵倒する行為は、長年にわたり極めて敏感な行為とされ、危険が伴うのは明らかだと指摘します。それゆえ、こうした出来事が目立つようになっていること自体が、「恐怖」よりも「生きることの圧力」が上回り始めた人がいる可能性を示している、という見方もあります。

 現在の中国経済は複数の課題を抱え、工業生産、消費、投資、不動産はいずれも重い負担を背負っています。外資の撤退、企業の倒産、失業、賃金未払いなどが重なり、地域社会の耐える力が少しずつ削られています。アナリストの中には、ここ数年の消耗を経て、本来はまだ余裕があったはずの中間層の家庭ですら、生活の限界に近づいていると見る人もいます。状況がさらに悪化すれば、社会の緊張はもっと直接的な形で表面化する恐れがある、というわけです。

 街頭での叫びは点在していて、組織だった動きにはなっていないものの、心理的には長く続いてきた沈黙を破る作用を持ち始めている、と捉えられています。

 ネットユーザーの間で「ここ20年で最も見応えがある習近平批判動画」とも呼ばれる動画があり、現在は中国国内で封殺されています。
ある漫才師が、ある人物についての評価を口にした直後、会場の観客が一斉にこう叫びました:

「習近平」

 分析では、こうした公然の罵倒が、そのまま具体的な政治行動に直結するとは限らないものの、そこに表れている感情の変化は見逃せないとされています。一般庶民が、最も直接的で、最も個人的な形で怒りや絶望を吐き出す場面が増えているとすれば、これまで不満を吸収してきた緩衝の仕組みが効かなくなりつつある、という兆しにもなります。

(翻訳・藍彧)