旧正月を目前に控え、中国全土で再び大規模な「賃金未払い」をめぐる抗議デモが多発しています。今年の際立った特徴は、その当事者が民間企業にとどまらないという点です。あろうことか、大手国有企業や、政府直轄の巨大企業である「中央企業」までもが未払いを起こしており、追い詰められた労働者が施設の出入り口を封鎖する実力行使に出るなど、社会に広がる動揺は隠しきれません。
2月に入ると、広東省、陝西省、河南省など各地で、本来なら国のインフラを支えるはずの「国策企業」による未払いが相次ぎました。広州市では、国有大手「中国建築第三工程局」が請け負う現場で、長期間の未払いに耐えかねた労働者たちが車両を使ってゲートを封鎖する騒ぎとなりました。同じ広州の国有企業「広州市建築集団」や、広東省中山市の「中山公用都市排水」でも同様の事態が起きており、後者に至っては4年もの間、賃金を滞納していたというから驚きです。西安市の「草灘集団」の前でも、多くの労働者がシュプレヒコールを上げました。
このような異常事態は枚挙にいとまがありません。国の重要プロジェクトである食糧備蓄施設「シノグレイン(中央備蓄食糧)」の現場でさえ例外ではなく、河南省周口市では、建設を請け負った国有企業「中国建築第七工程局」が労働者による封鎖を受けました。河北省、上海市、四川省宜賓市などでも、地方国有企業を含む多くの現場で抗議行動が勃発しています。甘粛省から新疆ウイグル自治区、安徽省に至るまで、未払いの火種は全土に拡散しており、四川省徳陽市広漢では、絶望した労働者が飛び降り自殺をほのめかして抗議するという、あまりに痛ましい事態も発生しました。
必死に訴える労働者に対し、当局が取った対応は冷酷なものでした。陝西省韓城市では市役所に助けを求めた人々が門前払いされ、広西チワン族自治区南寧市では、賃金を求めて現場に向かった出稼ぎ労働者が、あろうことか警察に連行され、拘留の危機に直面しています。ネット上では「経営者による悪意ある未払いは許され、労働者が正当な賃金を求める行動は『悪意』とみなされるのか」という皮肉めいた言葉が飛び交っています。武漢の労働者が「俺たちの血と汗の結晶を返せ」と叫ぶ動画も拡散されましたが、当局は世論の沸騰を恐れ、関連動画のコメント欄を閉鎖するなど、神経をとがらせているようです。
一連の出来事は、人々の激しい怒りを呼び起こしました。「国の代表格である企業が賃金を払わないなら、命がけでビルを建てた労働者はどうやって年を越せばいいのでしょうか。これは単なる不景気ではなく、底辺層に対する組織的な略奪です」といった痛烈な批判も聞かれます。未払いが常態化し、法律は形骸化し、労働者はただ門の外で立ち尽くすしかないのが現実です。世論が指摘するように、もし社会が長期間にわたり「実力行使」でしか労働の対価を得られないのであれば、問題はもはや封鎖された門の中にあるのではなく、制度そのものの欠陥にあると言わざるを得ません。
経済の低迷が続くなか、かつては盤石と思われた大手国有企業にまで波及した未払いの嵐。これは地方政府の信用を失墜させるだけでなく、政権の基盤さえ揺るがしかねない事態です。コネも権力もない人々が、生きるためにあらゆる手段を尽くしても報われず、ついに追い詰められたとき、中国社会の忍耐は限界を迎えることになるでしょう。
(翻訳・吉原木子)
