今、中国全土がかつてない規模の「巨大な冷凍庫」と化しています。内モンゴルで記録されたのは、生命の危険すら感じるマイナス44.6度という極限の寒さ。さらに温暖なはずの南部でも10年ぶりに雪が舞い、雪山で発見された「マネキン」が実は生身の人間だったという衝撃的なニュースまで飛び込んできました。旧正月の帰省ラッシュを直撃したこの最強寒波、その凄まじい実態をお伝えします。
まず、寒波の「爆心地」となった内モンゴル自治区の惨状です。強烈な北西風がヒューヒューと吹き荒れ、省都フフホトですら気温はマイナス22度まで急降下しました。特に深刻なのが北部のフルンボイル市です。なんと現地の32もの観測地点で、マイナス40度を下回る「極寒」を記録しています。中でも陳巴爾虎(チンバルク)旗にある「特泥河(とくでいが)牧場」の観測所では、全国最低気温となるマイナス44.6度という想像を絶する数字を叩き出しました。
折しも1月20日は「大寒」。空気中の水分が一瞬で凍りつく「ダイヤモンドダスト(氷霧)」が発生し、街全体が白い霧に飲み込まれたかのような幻想的かつ恐ろしい光景が広がっています。屋外では、瞬きをする間にまつ毛やマスクが凍りつき、まるで極地探検のような装備なしには一歩も歩けません。車はエンジンがかからず、人通りも途絶え、都市機能までもが凍結してしまったかのようです。
この寒波の威力は北国だけにとどまりません。その冷気は一気に南下し、普段は雪と無縁の南部地域にも異変をもたらしています。広州市では寒冷警報が発令されただけでなく、なんと10年ぶりとなる降雪が観測されました。顔に当たる氷の粒の痛みに耐えながらも、市民たちがダウンジャケットを着込んで珍しい雪景色を撮影する姿が見られました。
しかし、安徽省の蚌埠(ほうふ)市では笑い事では済まされない事件が起きています。ある警察官が淮河(わいが)の堤防で、遠くにポツンと佇む人影を発見しました。あまりに動かず、姿勢も不自然に硬直していたため、誰かが捨てた「マネキン」だと思い込んで近づいたところ、なんとそれが生身の女性であることに気づき愕然としたのです。女性は8時間も雪の中で立ち尽くし、手足は凍りつき意識も朦朧としていました。間一髪で救助され、駆けつけた医師の診断で命に別状はないことが確認されましたが、一歩間違えれば悲劇となっていたこの「マネキン騒動」は、今回の寒波がいかに常軌を逸しているかを物語っています。
そして、この悪天候が最も深刻な影響を与えているのが「移動」です。中国はまもなく旧正月の帰省ラッシュを迎えますが、交通網はズタズタに寸断されています。広鉄集団は深セン北駅、深セン坪山駅、恵陽駅を発着する列車の運休を余儀なくされ、多くの旅行客が足止めを食らいました。
さらに悲惨なのが道路状況です。湖北省では、十堰(じゅうえん)市などで10センチから15センチ、宜昌(ぎしょう)市でも6センチの積雪を記録しました。しかし、雪以上にドライバーを苦しめているのが「雨氷」による路面凍結です。高速道路は完全にスケートリンクと化し、大型トラックでさえ制御不能に陥るスリップ事故が多発。湖北省内だけで246の料金所が通行制限、114の料金所が完全閉鎖という異常事態に陥りました。猛吹雪の中、見渡す限り続く赤いテールランプの列。多くのドライバーや帰省客が、事故や故障による渋滞に巻き込まれ、暖房の効かない車内で不安な夜を過ごしています。
こうした事態を受け、中央気象台は寒波、路面凍結、強風の警報を同時に発令し、厳重な警戒を呼びかけています。今後も寒気は居座り続け、江西省、福建省、貴州省、広西チワン族自治区、広東省の一部ではさらに8度から10度以上も気温が急降下する見込みです。また、湖南省や貴州省では引き続き凍雨が予想されています。気象部門は、今がこの冬一番の寒さのピークであるとし、路面凍結による転倒事故や交通事故に最大限の注意を払うよう警告しています。まさに日本列島にも影響を及ぼしかねないこの大陸からの寒波、引き続き警戒が必要です。
(翻訳・吉原木子)
