中国では近年、猛暑や洪水、土砂災害が相次ぎ、住民の生活に深刻な影響が出ています。そうした中、再び台風が接近しています。

 今年の台風4号は、台湾に上陸した後、急速に北上し、現在は浙江省沿岸に近づいています。浙江省や広東省、福建省などでは、すでに学校の休校や企業の操業停止、交通機関の運休、航行の停止などの緊急措置が相次いで発表されています。

 一方、四川省各地では土砂災害が相次ぎ、少なくとも3人が死亡、2人が軽傷、6人が行方不明となっています。

 各メディアによると、台風4号は7日未明に台湾の嘉義県沿岸に上陸しました。上陸時には勢力が強い台風から階級無しの台風に弱まったものの、中心付近の最大風速は秒速40メートル(13級)、中心気圧は960ヘクトパスカルに達していたということです。

 台湾中央山脈を越えたことで台風の勢いはやや弱まったものの、依然として強い勢力を保ち、進路は非常に不規則で、影響が長引く可能性も指摘されています。

 7日午前9時の時点で、台風4号の中心は浙江省温嶺市の南およそ290キロの海上にあり、風速は10級(約秒速28メートル)に弱まったものの、中心気圧は依然として982ヘクトパスカルと低く、暴風域は半径150〜180キロに及んでいます。

 中央気象台は6日に台風の情報を発表し、浙江省、福建省、江西省を含む江南東部に対して大雨や洪水への警戒を呼びかけています。

気象当局の予測では、台風4号は8日の午後から夜にかけて浙江省台州市から福建省寧徳市沿岸に上陸する可能性が高いとみられ、上陸時の最大風速は秒速18〜25メートルと予想されています。また、広い範囲で激しい雨が降り、一部の地域では豪雨となり、雹が降るおそれもあります。

 台風の接近に伴い、浙江省沿岸部では風雨が徐々に強まる可能性があるといいます。温州市ではすでに3日連続で豪雨が続き、局地的には非常に激しい雨が降っているため、7日には市内の102本の列車が臨時運休となりました。広東省でも厳戒態勢が敷かれ、「北京日報」によると、広東省では361隻の作業用漁船がすべて港に戻り、5つの洋上風力発電施設に待機していた130人、海洋牧場に待機していた92人、養殖いかだの作業員1,926人が全員避難したほか、5か所の海辺の観光地も臨時閉鎖されたということです。

 汕頭市では7月6日午前から、市内すべての幼稚園、小中学校、中等職業学校および技術学校が全面的に休校となりました。福建省でも、海事局が5日正午に船舶の台風対策として二級の対応を開始し、「小三通」航路を含む多くの客船や渡船の運航が停止されました。このほか、50か所の海上工事プロジェクトも作業を中止し、海上レジャー船や郷鎮の船舶の乗組員もすべて撤退しており、7日には一部の旅客列車も運休となっています。

 一方、台風とは別に、四川省の各地ではここ数日の大雨により深刻な土砂災害が起きています。7月7日、雅安市天全県の当局によると、5日午後1時ごろ、天全県の龍尾大橋付近で土砂災害が発生し、複数の車両や人が巻き込まれ、これまでに3人が死亡、2人が行方不明、2人が軽傷となり、救助活動が続いているということです。

 雅安市気象台の統計によれば、4日午後5時から5日午前7時の間に市内535か所の観測所で降雨が観測され、弱い雨が101か所、やや強い雨が42か所、強い雨が119か所、非常に激しい雨が196か所、猛烈な雨が77か所を記録し、最大降雨量は雨城区南郊で213.5ミリに達したということです。

 また、7月2日以降、四川省甘孜州丹巴県でも広い範囲で強い雨が続き、局地的には1時間に23.2ミリの降雨を記録し、複数の場所で山津波や土石流が発生しています。特に4日午後5時50分ごろ、巴底鎮の沈足溝では大規模な山津波や土石流が起き、20万立方メートル以上の土砂が流れ、2つの村が被災、約15棟の家屋が損壊し、山へ牛の放牧に行っていた4人が行方不明となっているということです。

 こうした状況の中、中国本土は現在、台風や洪水、猛暑、さらに地質災害が重なり、非常に厳しい状況に置かれています。また、貴州省や湖北省など多くの地域では洪水による被害が深刻で、家屋が浸水し、街全体が海のようになり、道路に遺体が漂っているという噂も出ています。

 この様な状態であるにもかかわらず、被災地を直接訪れる中国共産党の高官の姿はほとんど見られず、インターネット上では「本当に冷たい」といった批判の声が多く上がっています。

(翻訳・吉原木子)