リスは草食性で、主に種子や木の実などの植物を食べる動物であり、冬に備えて食べ物を土に埋めることが多いと一般的に知られています。しかし、2024年12月18日に国際学術誌『ジャーナル・オブ・エソロジー(Journal of Ethology)』に発表された論文により、これまでの認識が覆されました。「カリフォルニアジリス(California ground squirrel)」というアメリカのカリフォルニア州に生息するリスは、ハタネズミを追いかけ、食べることを研究者たちが発見しました。これまでにはない捕食行動について、学者たちはリスの食習慣を再検討し、「リスは雑食性」であることがわかりました。
研究チームを率いる米ウィスコンシン大学オークレア校の生物学准教授であるジェニファー・E・スミス(Jennifer E. Smith)氏は「リスは、窓の外でも日常生活でも、私たちが日常的に見かけている最も身近な動物の一種ですが、このような行動は今まで見たことがありません。自然界にはまだ多くの未知が存在することを実感できました」と述べました。
研究チームは2010年以来、コントラコスタ郡のブリオネス・リージョナル・パーク(ブリオネス地域公園)で地元のリス個体群を観察し続けましたが、リスの捕食行動を目撃したのは初めてです。2024年6月から7月にかけて、研究チームはリスとネズミの関わり合いを74件観察し、そのうちの42%でリスが積極的にネズミを捕食していることを発見しました。しかしながら、リスが他の哺乳類を捕食している様子はまだ発見されていないとのことです。
研究チームメンバーのソニア・ワイルド博士(Dr. Sonja Wild)は、ある学部生が初めてリスの捕食行動の映像を見せてくれたとき、非常にショックを受け、「それ以来、ほぼ毎日同じような行動を見てきました。ひとたび注意を払い始めると、実はよくあることだと気づきました」と話しました。
また、今回の論文では、年齢も性別も異なるカリフォルニアジリスが、ハタネズミを狩ったり、食べたり、リス同士で獲物を奪い合ったりする行動が記録されています。捕食行動のピークは7月の最初の2週間で、公園内のハタネズミの個体数が急増する時期と一致していることがわかりました。ワイルド博士は、「カリフォルニアジリスが示す行動の柔軟性は、餌の入手可能性の変化に適応できることを示唆しており、この適応性が人間活動の影響を受ける環境で生き残るのに役立っている可能性があります」と指摘しました。さらに、スミス副教授は「カリフォルニアジリスを含む多くの生物種は、驚くほどオポチュニズム(日和見主義)なのです」と説明を付け加えました。
しかし、この捕食行動はリスの個体群ではどれほど一般的なのか?親から子へと受け継がれる遺伝性があるのか?生態系にどのような影響を与えるのか?などなど、リスの捕食活動にはまだ多くの未解決の課題があります。そこで研究チームは、次の夏に再びこの調査地に戻り、リスの捕食行動を引き続き観察し、この捕食行動がリスの繁殖に与える潜在的な影響、特に過去10年間のデータと比較して大きな変化があるかどうかを調査する予定で、研究を進めていくようです。
リスがハタネズミを捕食する動画:
(翻訳編集・玉竹)