最近、中国では複数のウイルスが同時に拡散しており、新型コロナウイルスやライノウイルスなどが流行しています。民間では突然死の報告が相次ぎ、SNS上では「本当に死亡ピークが到来したのではないか」と嘆く声が多く聞かれます。あるブロガーは繰り返し「2025年には多くの人が死亡する」と述べており、その原因は戦争ではなく、様々なウイルスによるものであると主張しています。この発言はネット上で大きな反響を呼び、多くのネットユーザーが不安を表明しています。

 中国疾病予防コントロールセンター(CDC)が5月8日に発表した最新レポートによると、2025年4月(3月31日~5月4日)の間に、新型コロナウイルスの陽性率が顕著に上昇しました。第14週から第18週にかけて、陽性率は7.5%から16.2%へと急増し、2倍以上に達しました。入院中の重症急性呼吸器感染症例におけるコロナ陽性率も3.3%から6.3%へと倍増し、特に南部地域では陽性率が北部を大きく上回っています。また、ライノウイルスなど他の呼吸器ウイルスも拡大しており、CDCは引き続き感染状況への注意を呼びかけています。

 同時に、SNS上では「死亡ピーク」に関する議論が一層激化しています。5月11日、抖音(Douyin)のブロガー「老彭敢言(ろうほうかんげん)」は動画で、人口2000人未満の小さな村でその日に3人が死亡したことを明らかにしました。通常の状況では、人口2000人の村で年間の死亡者数は約10人程度と推定されますが、1日で3人が亡くなるという速度は異常だと不安を示しました。

 彼はさらに説明し、現在50年代生まれの人口は約1億4千万人、60年代生まれが約2億4千万人、70年代生まれが約2億6千万人で、合わせて6億人を超えていると指摘しました。これらの世代の中で最も若い者でも50歳近く、最も年長者は76歳です。今後10~20年の間に、これらの世代の80%が次々と亡くなると予測され、現在の死亡ラッシュは「正常な現象」とも言えると述べました。

 この動画は大きな話題となり、多くのネットユーザーが自身の故郷の状況を共有しました。ある浙江省のネットユーザーは、昨年の村の人口は約1000人で、そのうち17人が死亡したと述べ、最高齢は80代、最年少は48歳だったとしています。北京市のネットユーザーも、故郷に約500世帯があり、昨年1年間で11人が亡くなったと報告しました。安徽省のネットユーザーは、春節以来、人口2000人の村で既に5人が亡くなったと語りました。

 広西省のあるネットユーザーは、村の人口が1000人未満でありながら少なくとも10数人が亡くなったと話しています。雲南省のネットユーザーは、隣村の生産隊で1日に3人が死亡し、いずれも高齢者だったと報告しました。広東省のネットユーザーは、昨年故郷の村で60人以上が死亡し、新生児はわずか4人だったと述べ、死亡者の約7割ががんによるものだったと語りました。湖北省のネットユーザーも、村の人口3083人のうち、昨年1年間で34人が死亡したと述べ、70人余りの小規模集落でもすでに複数の死亡者が出ていると報告しました。

 福建省、陝西省、四川省、湖南省などのネットユーザーも同様の状況を訴えています。ある村では1年で数十人が亡くなり、誕生する子供はわずか2~3人に過ぎないと言います。特に心配されるのは、最近亡くなるのは30歳から60歳までの壮年層が多く、この現象が不安を一層強めています。

 河南省、四川省、山東省のネットユーザーは、感染が深刻だった年に「一晩で20人以上を埋葬する」という惨状があったと述べ、火葬待ちの行列ができたとも報告しています。ある町では1か月間に84人が亡くなったといい、この現象は人々の心を重くさせています。一部のネットユーザーは、「これは嘘に覆われた土地だ。彼ら(政府)の言うことは、句読点すら信じられない」と憤りを示しています。

 また、高齢者だけでなく、若者の突然死も深刻な問題となっています。抖音のブロガー「李哥說事(りこせつじ)」は、2025年が世界的な「死亡ピーク年」になると指摘し、その年の死亡者数は過去を上回り、その多くがウイルスによる突然死であると述べました。別のブロガーも、80年代生まれや90年代生まれの死亡者が増加しており、心筋梗塞による急死が多いと語っています。

 2月には、「2024年末時点で80年代生まれの死亡率が5.2%を超え、80年代生まれ20人に1人が亡くなっている」という情報がネット上で拡散されました。これに対し中国政府は即座にデマだと否定しましたが、多くのネットユーザーは「5.2%では少なすぎる」と疑いを持ち、身近な若者の突然死の事例を挙げて反論しました。

 一方で、SNSには「無人村」と化した地域を映した動画が多数投稿され、人口急減への不安が広がっています。あるブロガーが訪れた貴州省納雍県鬃嶺鎮では、かつての病院や学校、公安派出所が無人化し、住民が全く見当たらない「ゴーストタウン」となっていました。報道によれば、2017年の鉱山災害により、政府が住民を全面撤去させたとのことですが、貴州省には他にも廃村が多く存在し、その一部は近年急速に無人化が進んでいるといいます。

 東北三省でも同様の無人村が増えています。遼寧省の多くの村は「空村」と化し、家屋は崩壊し、雑草が生い茂り、人影が全くありません。遼寧省葫芦島市の趙家屯(ちょうかとん)はかつて鉱産資源が豊富で「東北の小上海」とも呼ばれましたが、現在では廃墟となっています。吉林省の山間部では、新しく建てられた住宅が誰も住んでおらず、一部の老人が残っているのみです。黒龍江省でも同様に、いくつかの村が無人化し、特に辺境地域では、かつて賑わっていた村が今や荒廃しています。

 ネット上では、人口危機への懸念が高まり、中国政府の公式統計への疑念が深まっています。あるネットユーザーは「かつて活気に満ちていた村が今や無人になり、かつて混雑していた商業エリアが閑散としている。14億という数字は本当なのか?」と述べ、議論が続いています。専門家は冷静な分析を呼びかけているものの、空村の増加は地域経済の構造変化による部分が大きいとしつつも、中国の人口構造が確実に変化しているのは事実であり、今後も課題が続くと指摘しています。

(翻訳・吉原木子)