2022年、中国江蘇省徐州市のある村で、「首に鎖をつながれた8児の母」の動画がSNSで拡散され、中国社会に大きな衝撃が走りました。この事件の背後の真相に迫り、その証拠を公開した元メディア関係者の趙蘭健氏はのちに、中国共産党から逃れ、アメリカに亡命しました。近日、趙蘭健氏は「看中国」の取材を受けた際に、中国では毎年膨大な数の人々が行方不明になっているが、これは中国共産党の臓器狩りと密接な関係があると述べました。

記者:「中国新聞網」が2017年に、中国では毎年800万人が行方不明になっていると報じましたが、これについてはどうお考えですか? 中国の「失踪人口」問題はどれほど深刻だと思いますか?

趙蘭健氏:私は人身売買被害者の家族を調査するため、2020年に雲南省の怒江(ぬこう)一帯を訪れました。当時、少なくとも 5つもの省・市の警察が、私が真相調査をするのを阻みました。

 雲南省のある県で、私は県の役人と警察に、人身売買被害者と失踪者の正確な人数および彼らの連絡先を知りたいと伝えたところ、これらの情報は秘密だと言われました。当時私は、中国で一体どれくらいの人々が行方不明になっているのかが知りたかったのでした。

 私はこれについてずっと調べてきました。しかし、残念なことに、二つの非公式データしか見つけることができませんでした。ひとつは、中国で毎年100万人が行方不明になっているというもの、もうひとつは中国で毎年250万人が行方不明になっているというものでした。メディアに勤める友人たちは、中国で年間100万人の行方不明者が出ることさえあり得ないと考えていました。

 今年3月、私はついに、いわゆる権威あるデータを見つけました。それは、中国新聞網が2017年に発表したもので、中国の年間失踪者数は800万人に上るというものでした。この数字には大変驚き、事態の恐ろしさを感じました。この800万人の行方不明者のうち、どれくらいの人が鎖につながれた女性のような状況に見舞われ、また、胡鑫宇(こ・きんう)のように生きたまま臓器を摘出された人はどれくらいいるのでしょうか。これは、社会の良識あるすべての人が問うべき問題です。

記者:近年、中国では生体臓器摘出が産業化されすでに成熟したとの報道が頻繁になされていますが、中国の失踪人口とはどのような関係があるのでしょうか?

趙蘭健氏:中国の行方不明者の多さは、臓器移植の産業化と密接な関係があると思います。失踪人口問題が日に日に深刻化しているのは、近年、中国で臓器移植がすでに産業化され、臓器の需要が巨大化しているからです。

 中国政府の主導によるものにせよ、民間の闇組織による運営にせよ、中国ではいたるところで大量の臓器移植が行われていることを意味します。臓器移植のためのマッチングセンターが各省・市に設置されており、いずれも政府機関が運営しています。

 鎖に繋がれた女性事件の話題が最もホットな時期に、私はWeChat(ウィーチャット)のグループチャットに関連情報を流したことがありますが、メディアの記者たちはそのような話題を見たり話したりすることを恐れていました。ご想像の通り、中国では失踪人口、臓器移植、もしくは臓器狩りなどはすべてデリケートな話題となっています。

記者:中国の公式メディアの報道によると、李強首相は昨年12月、国務院令に署名し、「人体臓器提供及び移植条例」を公布しました。この条例は、2024年5月1日に施行されましたが、これについてどう思われますか?

趙蘭健氏:この条例には重要なポイントがあり、つまり、臓器提供は自発的な行為であり、非自発的な行為、あるいは強制的な行為は違法であることを強調しています。このことの微妙なところは、表面的には合理的で合法的であるように見えますが、中国人は生まれてから死ぬまでの全過程が中国共産党によって「代表」されており、私たち一人ひとりの権利は、幼少期から大人になるまでの全過程において、中国共産党によって代表されてきているのです。

 中国共産党によって人生が丸ごと盗まれていても、中国人は自分の人生のどの部分が侵害されたのか全く認識できません。そして今、自分の臓器でさえ勝手に提供させられており、中国人一人ひとりに降りかかっています。 ファーウェイの最新の携帯電話には、工場出荷時に臓器提供アプリがバンドルされており、アプリには特別な設定がなされており、ユーザーがこのアプリの一部の設定を変更や削除することはできません。

 将来、私たち一人ひとりにも不運が降りかかるかもしれません。例えば不慮の事故が起きて負傷した場合、「臓器提供の同意書にサインした」ので、彼の臓器はすでに彼の所有物ではなく、本人や親族がサインする必要はないと関係者から言われるでしょう。携帯電話のせいで、臓器をとられてしまうのです。これは中国の現状の縮図であります。

 10年以上育ててきた子どもが、ある日突然、脳死状態になり、臓器が他人に移植されるとしたら、皆さんはどうしますか? その時、あなたはどう感じるのでしょうか? このようなことは中国の各地で今現在起こっており、将来的には合法化される可能性もあります。 ですから、このことは私たち全員が懸念しなければならない問題なのです。

記者:法輪功迫害追跡国際組織(追跡国際)は2024年4月、法輪功迫害に関与した疑いのある人物の一部リストを初めて米国のFBIに提出しましたが、その人数は81,340人に上っています。その中には、法輪功学習者の臓器摘出に直接関与した疑いのある人物9,011人も含まれています。追跡国際組織は、中国共産党はジェノサイドの罪を犯しており、関与した者はいずれも臓器狩りによる殺人に加担した疑いがあり、最終的に法の下で裁かれるだろうと指摘しています。

趙蘭健氏:どのような人であっても、このような扱いを受けるべきではありません。人の臓器を生きたまま摘出することは、人類の倫理道徳のラインを超えた行為なのです。 私は法輪功学習者が20年以上苦しんできたことに深く同情し、このような行為に断固として反対し、抗議を示したいと思います。

記者:どうしたら中国での大量失踪を根絶することができると思いますか?また国際社会はどのように援助すべきでしょうか?

趙蘭健氏:国際社会の主流メディアは、中国における大量失踪と生体臓器摘出の問題においてみな欠落しており、このことは罪のシンボルとして歴史に刻まれるでしょう。

 というのも、私が鎖に繋がれた女性事件に関する証拠を手に入れ、それを公開した後、『エポック・タイムズ』と『ボイス・オブ・アメリカ』のインタビューを受けた他に、国際的に有名なメディア5社が直接取材を申し込んできました。そのうち3社は、少なくとも1時間以上のロングインタビューを行いましたが、いずれも掲載されませんでした。 上層部の圧力があったのです。中国でビジネスを展開している国際メディアは、中国政府が発行する報道許可証を取得しなければならず、それがなければ中国で活動できないからです。 

 一方で、メディアの記者が金銭取引を行っているケースも存在します。メディアの記者が中国のある事件について調査し、関わりのある政府機関に行って、記事を書かない、あるいは記事を抑えて公表させないと政府関係者に告げさえすれば、地元政府はいくらかの金や便宜を与えてくれるのです

 私が集めた鎖につながれた女性に関する証拠が中国国内で揉み消されたことは理解できますが、国際的に有名な多くのメディアが私にインタビューした後、圧力で記事を発表できなかったということは理解に苦しみます。

 もし私たちが生きた人から臓器を摘出するといった犯罪行為を容認するなら、私たちはすでに地獄にいるのであり、そこは悪に満ちた社会なのです。

(翻訳・銀河)