台湾誌『新紀元週刊』に掲載された時事評論記事「2024、中共が国際戦争を起こすまであとどれぐらいの時間があるのか?」では、資本の角度から中国共産党(以下、中共)政権が直面している「中共の政治制度」と「経済活動」の間の矛盾点を分析し、中共政権の習近平総書記が国際戦争を引き起こす必然性を指摘しました。

 2023年、中国の不動産市場も株式市場も崩壊寸前まで来ており、外国資本の大量流出により中国の対外貿易も激減しました。このような逆境において、中共政権の指導者たちは一斉にお手上げ状態になりました。多くの中国経済を分析する文章は「中国経済の衰退は習近平氏の無能さによるものだ」と考えていますが、同記事は、中国経済問題の根源は「中共の政治制度」と「経済活動」の間の矛盾によるもので、この矛盾は中共自身では解決できないと指摘しました。

 中共政権は「百年未曽有の大変局」という謎の自信と「東昇西降(西側諸国が降下して中国が上昇する)」「世界競争の土俵を平らにできた」の傲慢から、今の八方塞がりの窮地に陥るまで、たったの三年余りの時間しかかかりませんでした。同記事は、「中共の政治制度から分析しないと、このすべてのことの原因や、私たちに襲いかかる大きなリスクを認識できない」と指摘しました。

資本は、中共の天敵

 1970年代末の中共による経済体制改革「改革開放」から習近平氏の就任まで、中国社会の資本は中共政権を不安に感じさせるほどの蓄積を遂げました。中共政権の統治を維持する立場で、習近平氏は就任当初から「『後の30年』をもって『前の30年』を否定してはいけない」、すなわち「『改革開放』後の30年の経済発展の実績をもって中共政権の最初の30年に堅持した毛沢東主義を否定してはいけない」と強調しました。これは「マルクス・レーニン主義政党である中共はその根本を変えるつもりがない」という意思表明でした。

  マルクスは著書『資本論』で「資本は、頭の先から足の先までのありとあらゆる毛穴から、血と汚物をしたたらせながらこの世に生まれてくる」と明記し、「資本」を「悪」と見ていました。そのため、毛沢東たちが1949年で立ち上げた中共政権の社会システムでは「資本」の居場所がどこにもありません。

 一方、鄧小平の統治期間中、グラグラしていた中共の統治を存続させるために経済体制改革を行い、外国資本と中国の民間資本を利用して中国の経済を発展させました。この政策は、中国社会に包括的な資本システムを出現させましたが、この資本システムのボリュームが一定に達すると、中共政権との間には不可避な矛盾が現れるようになります。

 この矛盾の特徴的な表現の一つは、中共政権の政界に現れた深い腐敗です。この腐敗は中共政権の統治にかつてない衝撃をもたらしましたが、この衝撃そのものが、マルクスが「血と汚物」と見なしている資本が中共の天敵であることを証明してくれました。

資本は、中共政権の終焉の呪い

 習近平氏の資本政策は、資本を充分に利用して経済を発展させてから資本を徹底的に消滅することなので、「共同富裕」の政策を打ち出しました。つまり習近平氏の「共同富裕」は、中共政権がお金を出して貧困層を助け国民全体が豊かになることではなく、民間企業の私有財産を中共の所有物として奪ってくることなのです。

 それでも、習近平氏は誤算しました。

 2019年、第二の任期の中盤、習近平氏は憲法を改正し、自身の任期を延長させ、皇帝になる夢がかないましたが、中国の資本は「民営企業5・6・7・8・9」の時代に入りました。つまり、民営企業は中国の50%以上の税金収入、60%以上の国内総生産(GDP)、70%以上の科学技術革新、80%以上の都市部就業機会、そして90%以上の企業数をもって、中国の経済に貢献してきました。

 資本はすでに、中国の土地に深く根を下ろし、大木として茂っているのです。

 習近平氏が直面する問題は、この資本という大木を倒すことは、中国の全国民が豊かになる道を切断することになります。資本がこんなにも発展している中国において、投資目的の不動産、株式、各種債券を諦める人がどこにもいません。

 今日の中国人は、資本がもたらした景気に慣れてしまいました。中国の不動産市場と株式市場の暴落に対して、多くの中国人が抗議の声を上げました。もしもある日、中国の銀行業まで危機が起きたら、中国人は苦労して手に入れた富が蒸発するのを見て見ぬふりすることができるでしょうか?

 2012年の就任時から、習近平氏ははっきりと見ていました。資本によって形成された大きな力が、中共という名の旧体制の壊れた車を崩壊の終わりに向かって引っ張っていることを。

 資本は、中共政権の終焉の呪いなのです。

外国資本からの挑戦状

 中国が世界貿易機関(WTO)に加盟してから、世界の工場となりました。中国の巨大な国内消費市場は、数え切れないほどの海外の資本家を惹きつけていました。世界各国からの注文と投資が雪のように中国に舞い込みました。中共の指導層もこの「おいしい」状況を享受していました。

 しかし、中共の指導層が忘れていたことは、雪のように舞い込んできた注文と投資の背後にあるものが、共産党制度と相容れない「資本」なのです。中共の指導層は、外国資本の中国のサプライチェーンへの依存だけを見て、中国経済の外国資本と外国科学技術への依存が見えませんでした。外国資本と外国科学技術は世界中のどこにでも応用でき、中国から撤退しても別の国で引き続きお金を稼げますが、外国資本と外国科学技術がなくなったら、中国の経済はどこまで維持できるのでしょうか?

 中国における国内外の資本の影響力は、習近平氏をはじめとする中共の指導層に大きな衝撃と恐怖を与えているのです。

 「どうしよう?」

習近平氏が直面する選択

 習近平氏は選択を迫られています。

 一つの選択肢は、資本の力に身を任せること。「民営企業5・6・7・8・9」の大勢から明らかになっているのは、国内外の資本が持つ巨大な影響力は様々な方面で中共の統治体制を左右するようになったという事実です。資本の力に身を任せると、資本力のレベルアップにより、中共の中国に対する統治力が弱まる一方に違いありません。

 もう一つの選択肢は、中国の経済を毛沢東時代に、少なくとも計画経済体制が主導権を持つ時代に連れ戻すこと。あの時代の中国人は、中国以外の世界中が地獄のような生活を送っていると信じていましたが、今の中国人でそのようなことを信じる人がどれぐらいいるのでしょうか。あの時代に戻りたい中国人はいないでしょうが、しかし、これは習近平氏が政権に就いてからずっと続けてきたことなのです。

 ところが、習近平氏はまたもや誤算しました。中共政権の新型コロナウイルス(中共ウイルス、SARS-CoV-2)大流行における無責任さも、ロシアのウクライナ侵攻におけるプーチン大統領への公開支持も、世界各国の指導層たちを冷え込ませ、不安にさせたので、世界各国の人々がこの短い三年間でたちまち目を覚ましました。多くの国が中国への投資やとハイテク輸出を制限し始め、中国経済は急速に崩壊し始めました。この崩壊は中共政権の統治に未曾有の脅威をもたらしました。

 そのため、自身の統治を維持するために、習近平氏と中共は、あの最後の選択肢に急接近しています。

 「戦争」です。

急接近する私たちと戦争の距離

 崩壊する経済と高齢化する人口を持つ中国。現行の対中政策がこのまま続くと、10年後、もしくは15年後、中共は世界各国の致命的な脅威ではなくなります。そのため、中共が戦争を引き起こすタイミングは、これから3~5年後の可能性が高いと考えられます。

 もし、中共が明日にも崩壊するとしたら、習近平氏はすぐさま戦争を引き起こすでしょう。

 2024年の新年のあいさつで、「台湾統一は時間の問題だ」と強調した習近平氏。

 去る2023年には、世界各国が中共の脅威について討論していました。

 来る2024年には、戦争の足音がはっきりと聞こえるようになります。

(翻訳・常夏)