中国の李克強前首相が27日に亡くなった後、中国当局は国民の追悼活動を厳しく規制しています。しかし、多くの民衆は依然として、李克強氏の旧居に花を捧げに訪れました。一部の分析によると、中国人は李克強氏をそれほど懐かしんでいるわけではなく、李克強氏は大した功績がなく、多くの人々は献花を機に社会への不満を発散しているといいます。

　李克強氏が亡くなった後、歴代の首相や国家レベルの官僚と同様の扱いを受けなかっただけでなく、公の場での追悼さえ禁じられています。

　ネット上で出回っている情報によると、中央の弔事を簡略化する指示に従い、追悼式は開かれない。遺体は11月2日に北京で火葬される。当日、天安門、新華門、人民大会堂、外交部、各省・市・区の党委員会と政府所在地、香港、マカオ、国境地帯の出入口、在外公館で半旗を掲げ、各国の駐中使節を遺体送別行事に招待しないといいます。

　中国のSNSや微博（ウェイボー）では、「李克強が亡くなった」に関する話題が全て削除されました。

　一方、公式の厳しい規制は、哀悼の人波を止めることはできませんでした。27日から、多くの人々が自発的に李克強氏の家の前に花を捧げに行きました。28日にも多くの市民が花を捧げ、青いベストを着た警備員と警察が現場で警戒していました。一部の市民は、「悼念李克強首相」と書かれた横断幕を掲げました。

　米国在住のメディア関係者である趙蘭健氏は27日、X（ツイッター）で民衆が献花した動画を投稿しました。趙蘭健氏は、「現在、中国の各大学は、学生の動向を厳重に監視し、騒乱を起こさないようにという通知を受けた。さらに、一部の住民は地元の警察署から李克強に関する追悼記事を印刷しないように要請する電話を受けた。これは当局が亡くなった人々に対する恐れ、つまり真実を語る人に対する恐れであることを示している」と述べました。

　中国の人々の李克強氏への追悼について、ベテラン出版業者の顔純鉤（がん・じゅんこう）氏は、「中国人は李克強の死に対する哀悼の念を通じて、習近平の独裁に対する嫌悪感を表現している。これには伝統がある。かつて周恩来（しゅう・おんらい）が亡くなった際、国中が喪に服していた。当時の中国人は毛沢東への嫌悪感を周恩来への愛情に転化した。胡耀邦の死も同様で、彼は鄧小平に抑圧されており、政治局会議で批判され、心臓発作を起こした。胡耀邦が亡くなると、中国人は官僚の腐敗とインフレへの不満を胡耀邦への愛情に転化した。李克強の死も同じだ。中国人は現在の社会に対する不満を感じ、爆発が目前に迫っている。李克強は長らく習近平によって抑圧され、大した功績を残さなかったが、人々は現実への不満を、李克強への愛情に転化した」と述べました。

　顔純鉤氏はまた、「李克強の死がブラックスワン（マーケットにおいて事前にほとんど予想できず、起こったときの衝撃が大きい事象のことです）になるかどうかはまだわからないが、物事は常に変化しているので、さまざまな要素が揃うと、質的変化が発生する」と述べました。

（翻訳・吉原木子）