ここ数年、中国の交通管理部門は「派手な罰金」を乱発する問題が報じられ、世論から厳しい批判を浴びている。一方、地方政府の役人は、その原因はお金が不足しているからだと明言した。


 中国メディアの報道によると、河南省安陽市の複数のトラック運転手が自分たちのトラックを売り払って、この仕事をやめたいと考えているという。その理由は、運賃が安いだけでなく、罰金があまりにもひどいからだ。その中の一人は、彼が受け取った罰金通知書の分厚い束を示した。彼のトラックは2年間でなんと58回も罰金を科され、27万5000元(約537万円)以上も支払わされた。この運転手は、このままではとてもやりようがないと述べた。

 報道によれば、安陽市内黄県の交通運輸法執行部門が、道路に設置された電子自動監視重量装置に何かしらの不正をしているようだ。時には車両が明らかに積載制限を超えていないのに、電子自動計量では超過表示がされてしまい、さらに計量表示画面の前には他の表示板が設置され、トラックドライバーはそれを見落としやすくなっている。

 このような現象について、内黄県の交通運輸法執行部門の責任者である張院平氏は記者に対し、「3年間のコロナ禍を経て、各地元政府の財政が困窮している。法執行は厳しくしなければならない」と述べた。「ノルマがあるか」という質問に対して、張氏は「もちろんある」と答えた。

 中国の交通管理部門は交通違反罰金を通じて、収益を上げることにより、多くの批判を受けている

 2022年7月から、中国の各都市は2021年の予算執行状況を公表した。その中で、111の地級市(中国の地方行政単位。省クラスの行政単位と県クラスの行政単位の中間にある地区クラスの行政単位である)が罰則収入のデータを公表した。111の地級市のうち、2021年に80の都市は罰則収入が増加し、その割合は72%を超えた。また、15の都市は罰則収入が前年比で100%以上増加した

 2021年、青島市の罰則収入は43.77億元(約856億円)に達し、111の都市の中でトップであり、貴州省銅仁市の年間税収に相当する。2020年と比較して、青島市の罰則収入は127%増加した。

(翻訳・吉原木子)