中国の墓地産業は、今や多くの不動産会社を上回る収益力を持っています。墓地が不足しているため、上海などの中国の大都市では、1平方メートルあたりの墓地面積が都心の住宅価格よりはるかに高くなっているところもあります。

 上海市民の劉さんは4月5日の清明節(中国で先祖を祭る日)、お墓参りで市内の2つの墓地を訪れましたが、お墓の価格が高くなっていることに驚き、1平方メートルあたりの単価はすでに上海の住宅価格を超えています。

 中国メディア「時代財経」5日の記事によると、劉さんが訪れた墓地の1つは上海郊外にあり、1平方メートルあたり18万元(約350万円)、もう1つの墓地はより離れた南匯区にあり、1平方メートルあたり13万元(約250万円)であるとのことです。劉さんは、墓地のスタッフから、その墓地はもう一般には販売せず、地元の住民に優先的に販売することを聞かされたと述べました。

 別の上海市民の陳さんは、さらに高い価格に直面しています。陳さんは最近、両親のために夫婦墓(めおとばか)を探しているが、最も安価なお墓でも37万元(約720万円)、次に安いのは49万元(約950万円)であったことがわかったのです。

 中国のビジネスニュース日刊紙「21世紀ビジネス・ヘラルド」は4月6日の記事で、今年3月中旬に販売を開始した新しい霊園である上海の松鶴園は、面積0.6平方メートルの個別墓または夫婦墓のお墓が34.18万元(約662万円)で販売されています。0.6平方メートルの3人用(家族墓)の販売価格はさらに高く、45.78万元(約886万円)となっています。「1平方メートル」あたりの価格に換算すると76.3万元(約1500万円)にも達するのです。

 ここ1年間、上海の平均住宅価格は1平方メートルあたり約7万元(約135万円)で、上海市中心部の住宅価格は1平方メートルあたり13万元(約270万円)となっています。一方、上海の墓地の1平方メートルあたりの価格は、上海市中心部の住宅価格をはるかに上回っています。

  上海だけでなく、北京、広州、深センなどの大都市でも、お墓の1平方メートルあたりの単価が不動産価格よりもはるかに高い現象が見られます。

 中国最大の葬儀会社「福寿園」はこのほど、2022年の決算を発表しました。昨年、同社の総売上高は21.72億元(約420億円)、純利益は8.1億元(約157億円)に達しました。また、同社は2022年に新たに268基の霊園を買収・建設しました。

 昨年から中国の住宅価格は下落しているのに対して、墓地価格は6.4%上昇しました。

若者も墓場の予約を始めている

 時代財経によると、34歳の陳さんは昨年、北京の九公山で2.5平方メートルの墓を自分用に購入しました。陳さんは時代財経に対し、購入したお墓は20年間の使用権を持つ契約商品であり、契約履行時から時間が計算されると伝えました。もし契約を履行しなければ、それを保留することができ、位置もそのまま固定できます。しかし、20年経っても使用されない場合は、その後20年ごとに5%の維持費が請求されることになります。

 広東省広州市のある霊園の職員は、彼のいる霊園には事前にお墓を予約している若者がいます。最年少はわずか29歳だといいます。

なぜ墓地の価格は高騰するのか

 米国在住の政治・経済アナリストである陸天明氏は、中国の墓地価格が急激に上昇している理由は2つあると指摘しました。

 「一つ目は、需要と供給のバランスに影響されています。これが主な原因です」。

 陸氏は7日、大紀元とのインタビューで、次のように語りました。「ここ数年、新型コロナウイルス感染症によって中国で多くの人が亡くなっています。中国共産党は死亡者数を隠蔽し続けていますが、さまざまな情報から推測するに、多くの人が亡くなっていることは確かです。これだけ多くの人が死亡すると、当然墓地は供給不足となり、葬儀産業の収益もそれに伴って急上昇するのです」

 「もう一つのは、政策的なもので、依然として中国共産党の土地財政問題が存在します。土地は不動産会社だけでなく、墓地用の土地も政府から承認を得る必要があります。土地からの収益は、中国共産党の地方政府にとって重要な収入源なので、中国の土地価格は常に高い水準にあるのです。不動産会社にとっては需要が低下し、市場が不振のため、地価を維持するのは困難です。しかし、墓地が供給不足であるため、土地価格が下落することはないでしょう。土地価格自体が非常に高いのに加え、需要と供給のバランスが崩れているため、墓地の価格は右肩上がりとなっています」

(翻訳・藍彧)