「出エジプト記(しゅつエジプトき )」を読まれた方は、おそらく覚えているでしょう。ヤハウェ(主)はエジプトの隷属という悲惨な状況から民を救うために奇跡を起こし、モーセがユダヤ人(イスラエル人)を自由と幸福の国である紅海の対岸へ導くのを助けました。

 今日、中国共産党の支配下から逃れた多くの中国人が、陽光と清新な空気に満ちた自由な世界にたどり着くため、危険を冒して米国とメキシコとの国境にある峡谷のジャングルを越え、米国南部の国境に到達しています。

 統計によると、2023年の最初の2か月間で、すでに2000人以上の中国人がさまざまな方法で命がけて中南米から米国に逃亡していました。現地政府や民間移民機関が、これほど多くの中国人が多種多様な手段で国境を越えるのを見たことがないと驚いています。

 現在フロリダ州に滞在し、グリーンカードを待っている中国広東省出身の商人は、「コロナの流行でロックダウン(都市封鎖)中に、母親が脳出血を起こし、病院に行くことが許されず、家族が封鎖の解除を求めたら、警察に警察署まで連行されて殴られた。その後、母親が亡くなったので、公正を求めに行ったが、会社を閉鎖され、家族3人も監禁された。また、受けたこれらの不当な扱いを社会に公表するなと言われた」と語りました。

 ある男性クリスチャンは、友人の家で祈りを捧げたことで投獄され、その後、ビザ免除であるセルビアに渡ったが、教会で中国共産党のスパイに尾行されていました。さらにその後、彼は他人の助けを得てメキシコに逃げ、国境の川を泳いで米国に渡りました。川を泳いだことに言及すると、男性は涙を浮かべて次のように語りました。「妻と子供は泳げないし、水流も速く、川で溺れそうになった。妻と子供を対岸にまで救い出し、家族で泣きながらひざまずき、神様の恵みに感謝していた 」。男性の妻は、「トルコ、エクアドル、パナマ、グアテマラなど、11か国を経た。今世は中国と決別し、米国で死ぬまで生きるつもりだ」 と述べました。

 米国に逃れたこれらの中国人のほとんどは、中国共産党の全体主義的な支配に対する恐怖から故郷を離れ、財産を捨てることさえあると報じられています。これら中国人は、10歳未満から70歳以上まで幅広く、知識人、ビジネスマン、労働者などが含まれており、ひいては公務員、共産党員の基層幹部もいます。彼らの中には、自分の信念のために迫害された者、政府高官を批判したために濡れ衣を着せられた者、自分の権利を守るために弾圧された者、中国共産党の少数民族差別に反対して投獄された者、自由を求めて街頭に出たために弾圧された者、共産党への信仰を離れたために逮捕された者などがいます。 

 米ニュースネイションの記者、Jorge Venture(ジョルジ・ベンチャー)氏は2023年3月20日、ツイッターで「これまで国境関連のニュースを報じてきたが、これほど多くの中国人が不法越境して米国に入国しているのを見たことはない」とツイートしました。「去年と比べて、米国国境警備局が中国人を逮捕した人数は9倍以上激増した」とし、「米国の移民機関のデータによると、2023年2月だけで、米国の国境警備隊は1345人の中国人を逮捕し、去年と比較して8倍にもなっている」と述べました。

 また、パナマ政府の移民データによると、今年最初の2ヶ月は、2022年通年でパナマに入国した中国人の総和(2000人)を上回ったと報告されています。

 米国キリスト教団体「対華援助協会」の会長である傅希秋(ボブ・フー)氏は、同協会が現在、米国に入国したばかりの中国人から身の安全を確保するための援助要請を毎週受けていると述べました。「最も重要なのは、中国共産党による中国人への迫害で、中国人は自国で生活したくないと思わせていることだ」

 イスラエル人がエジプトから脱出したそもそもの理由は、ファラオがイスラエル人が多すぎて、エジプトの敵と結託して反逆することを恐れたため、彼らを迫害するようになったのです。ファラオはイスラエル人に藁と泥レンガで都市を建設するように強制し、生まれたばかりのイスラエル人の男児を殺すよう助産師に命じました。これは、中国共産党が国民の中に「いつも謀反を企んでいる者がいる」と疑っているのと同じです。

 紅海を渡って脱出したイスラエル人は、自由を手に入れた喜びを歌で表現しました。「主に向かって歌え。主は大いなる威光を現し、馬と乗り手を海に投げ込まれた。主は私の力, 私の盾。 私の心は主に拠り頼み, 私は助けられた。 主は、とこしえまでも統べ治められる 」

 今、この歌が、米国に逃れた中国人の心理を表現するのに最もふさわしいものでしょう。

(翻訳・藍彧)