10月31日ハロウィンで仮面を被る香港市民(写真撮影:看中国/龐大偉)

 香港政府が「緊急法」に基づいて発表した「覆面禁止法」は違憲審査を引き起こした。香港高等法院(高等裁判所)は11月18日、「公共の安全に危害を加える」場合に「緊急法」を適用することが基本法に違反すると判断し、「覆面禁止法」も違憲と判断した。

 高等法院は前立法会議員の梁国雄氏以下24名の汎民議員に関する案件を審議し、「覆面禁止法」に関する初の案件となった。原告側は、「緊急法」が立法会(香港の議会に相当)を排除し、行政長官に無制限の立法権力を与えるため基本法違反であると主張。「覆面禁止法」が平和的な集会にも効力が及ぶことを疑問視した上で、「覆面禁止法」の制定によって更に多くの抗議デモを引き起こしていることを指摘した。一方、政府の代表は、「緊急法」は基本法の条文に抵触しないと反論し、若者や香港市民を救済するために「覆面禁止法」を設けたと発言した。

 香港高等法院は2日の尋問を経て、18日、「公共の安全に危害を加える」状況下で「緊急法」を適用することは基本法に違反しており、「覆面禁止法」は合理的な必要以上に基本権に対する制限であるため違憲であると判断した。

 この事件は異例的に2人の裁判官(周家明氏と林雲浩氏)が審理した。

 香港民衆の4ヵ月近く続いている抗議を控え、香港政府は民衆の訴えに応じないばかりか、10月4日、林鄭月娥行政長官は一方的に「緊急法」を適用することを決定。公共の集会でのマスク使用を禁止する「覆面禁止法」を公布し、身分識別を避けるために顔を隠した者(たとえ合法的な集会やデモに参加したとしても)は最高で懲役1年の刑に処せられるとした。

 この悪法は火に油を注いだ。その週末、地下鉄全体のサービスが停止したにもかかわらず、何千人もの香港人が覆面をして街に出た。警察は鎮圧を続け、14歳の少年が銃で足を撃たれた。

(翻訳・柳生和樹)