顓頊(パブリック・ドメイン)

顓頊(せんぎょく)

 五帝王の一人であった顓頊が在位にあった時代、徳を重んじ国家をとても良く治めていました。史実によると、天に照らされた場所はすべて安定しており、天に逆らう者はなく、彼が治める範囲は非常に広大でした。

 敦煌の写本「天地開闢後の帝王記」によると、顓頊の在位期間に5年間、大干ばつに見舞われたことがありました。彼は自分が徳を修めていなかったためにこのような大干ばつが起きたのだと思い、それによって民衆に酷い災いをもたらしてしまったと自責の念にかられました。

 彼は雨乞いの儀式を行い、民衆を犠牲にせず、彼自身を祭祀用の生贄(いけにえ)として捧げるため大海に身を投げました。しかし海の神様は顓頊を収めず、その後すぐに顓頊を背負った大魚を水面から浮かび上がらせました。

 天上の神は顓頊帝王の誠意に心を動かされ、すぐに大雨を降らせたため、その年は国中が大豊作となったそうです。

(つづく)

(文・天煕/翻訳・夜香木)