レイブン・ロック(Zeete, CC BY-SA 4.0 , via Wikimedia Commons)

 プーチン大統領が核兵器の使用について「冗談を言っているわけではなかった」と述べた。これに対し、バイデン大統領は6日、世界が「アルマゲドン(最終戦争)」に直面していると述べた。では、もし核戦争が勃発した場合、3軍(陸軍・海軍・空軍)を率いる米大統領に隠れ場所はあるのだろうか。実は、米国政府は政治機能を保存するための極秘巨大核シェルターを建造していた。日本ではあまり報じられていないが、米ジャーナリストのギャレット・グラフ氏が、2017年に著書『Raven Rock: The Story of the U.S. Government’s Secret Plan to Save Itself-While the Rest of Us Die』(日本語訳:「レイブン・ロック:市民が死ぬ中、米政府を守るための極秘プラン」)で暴露したことで、その存在が公になった。

 核戦争が起きた場合、アメリカ政府はペンシルバニア州とメリーランド州の州境近くにあるレイブン・ロックという山で活動を続けられる。この都市規模の複合施設は「地下のペンタゴン」と呼ばれている。この複合施設は、1949年、当時のハリー・S・トルーマン大統領の命令により建設された。

 1945年、トルーマン大統領(当時)は日本に2発の原子爆弾を投下するよう命じた。これは、米国が史上初めて核兵器を軍事的に使用した例である。ディック・チェイニー元副大統領は2001年の「アメリカ同時多発テロ事件」後に、しばらくそこに滞在していたと報じられた。現政権が国難に際して利用する可能性を示唆している。

 グラフ氏は、著書『レイブン・ロック』で、この謎の「地下ペンタゴン」を明らかにした。「レイブン・ロックは空洞に掘削された巨大な山だ。それは独立した都市だ。独立した建物がある。3階建ての建物がこの山の中に建てられている。小さな都市が持つすべての施設を備えているのだ。そこには消防署、警察署、医療施設、食堂がある」

 人里離れた山奥に、米政府要人を保護するための極秘核シェルターが存在したのだ。先述したグラフ氏の著書の副題に『市民が死ぬ中、米政府を守るための極秘プラン』とあるように、この核シェルターは米国が核攻撃、化学兵器・生物兵器などの脅威に晒された場合、米政府の要人約1400人を収容することを目的に建造されたものだ。

 米国総省の報道官は5月に声明で、「レイブン・ロックは緊急時に国防省の基本的な機能を遂行することができる」と述べた。

(翻訳・藍彧)