赤ちゃん(イメージ / Pixabay CC0 1.0)

 中国広西チワン族自治桂林市全州県で32年前、一人っ子政策により1歳未満の出生児、鄧小周さんが母親の唐月英さんからさらわれ、今もその行方が分からない。今年になって、当局が、当時の一人っ子政策に違反して出産した子供について、「全県が統一して取り上げして、社会的調整を行っていた」と応じた。

 鄧善生・唐悦英夫婦は7月1日、同市全州県健康衛生局から嘆願書が受理されなかったことを知らせる手紙を受け取った。同通知書によると、1990年代には、同省の一人っ子政策の状況が厳しく、末っ子の鄧小周さんは政策に違反して出産したため、「全県が統一して取り上げして、社会的調整を行っていた」とし、子供の人身売買はなかったという。

 しかし、同通知書には、取り上げられた赤ちゃんの行方について、全く記録が残っていない。県の委員会と政府は、当時、市の一人っ子政策の工作会議に基づいて展開していたと主張した。

 同ニュースは5日、中国のネット上で話題となり、関連話題がウェイボーの検索ランキングに上った。

 「この事件は、一人っ子政策に対する人々の認識を再び新たにした。この通知書が事実であれば、本当に信じられないことだ!」

 「子供を人として扱っているのか?これは調整できることか?人身売買ではないことは確かなのか?!」

 「感情や政治的な傾倒をすべて捨て、事実のみから出発すると、自分の子供をこの土地に生ませたくない」

 世論の圧力を受けて、桂林市政府新聞弁公室は5日、初歩的な調査によると、全州県は民衆の訴えを無視し、行政不作為の県健康衛生局の局長をはじめ、副局長などの関係者に停職・検査を命じたと発表した。

 鄧小周さんが取り上げられた経緯

 母親の唐月英さんの回想として、鄧小周氏が取り上げられた前日(1990年8月25日)、全州県安和郷の一人っ子政策の工作管理所の高麗君所長(当時)が、「6000元(約12万円)の罰金を払えなかったため、全州県一人っ子政策委員会に連れて行って状況を説明しなければならない」と彼ら夫婦に言ったと、財新網5日の報道で分かった。

 しかし、同日午後、高麗君所長は、夫妻2人を全州県一人っ子政策委員会に連れて行かず、自宅に連れて行った。その夜、2人を全州県の国営のホテルの212室に宿泊するよう手配した。

 1990年8月26日朝、高麗君所長が手配した5人の男女が、生後1週間に満たない鄧小周さんを唐月英さんから奪って、車に乗り込んだ。その行方はいまだ不明である。

 実は、鄧小周さんがさらわれる前に、唐月英一家は、すでに全州県安と一人っ子政策工作管理所に家電や家具を押収され、6000元以上の罰金を払うよう迫られていた。彼らは家電や家具の一部を引き換えるまでに、合計1,380元の罰金を支払った。

 今年、鄧振生・唐月英夫妻は、和建人弁護士の協力の下で、全州県から中央政府までの複数の部門に訴状を送った。

 高麗君所長は、聡明な赤ちゃんを誘拐し、特定の買い手に売るために探しており、生まれたばかりの子供を何人も健康診断に出し、最終的に鄧小洲さんを見つけ出し、取り上げたと、唐月英さんが訴えた。

(翻訳・藍彧)