近い将来ウクライナに譲渡されるポーランドのAHSクラブ155mm自走砲(ポーランド国防省の公式ウェブサイトより)

 北大西洋条約機構(NATO)のミルチャ・ジョアナ事務次長は29日、NATOは、東欧にNATO軍部隊を配備しないとする従来方針にはもはや拘束されないとの見解を示した。

 ウクライナはロシアに隣接し、かつて旧ソビエト連邦(ソ連)を構成した15の共和国の1つだ。ソ連に対抗するために設立された米国主導の軍事同盟「北大西洋条約機構」は冷戦終結後、旧ソ連の勢力圏だった東欧諸国が次々と加盟。ソ連崩壊時(1991年)に16か国だった加盟国は現在30か国に増えている。こうしたNATOの東方拡大の動きにロシアのプーチン大統領は不信感を募らせているという。

 NATOとロシアが1997年に「NATO・ロシア基本文書」を締結し、「中・東欧を含む欧州の合意地域において、潜在的な脅威となり得る通常戦力の増強を抑止する」ことで合意している。

 ジョアナ氏は、ロシアによるウクライナ侵攻およびNATOとの対話停止を受け、NATOとロシアが締結した基本文書の「条項は一切、無効になった」とAFPに語った。

 ジョアナ氏は、リトアニアの首都ビリニュスで、「われわれは現在、東欧方面で強く出たり、NATO加盟国の領域が(NATO条約)第5条および加盟国によって防衛されることを確実なものとしたりすることに何ら制限は課されていない」と強調した。

 NATO第5条は、加盟国に対する攻撃はNATO全体への攻撃と見なすとする集団防衛を規定している。

 ジョアナ氏は、東欧へのNATO部隊配備計画について詳細を示さなかったが、「強靱(きょうじん)で柔軟性があり、持続可能な駐留」となるだろうと述べた。

 一方、ロシアのプーチン大統領の健康に関するニュースがこのほど、相次いでいる。

今年5月9日、モスクワの赤の広場で行われた軍事パレードで演説するウラジミール・プーチン大統領(YouTube動画のスクリーンショット)

 英国の対外情報機関MI6の情報筋は、プーチン氏が最近重病にかかっており、メディアへの出演は事前録画されている可能性が高く、モスクワの赤の広場で5月9日に行われた、ロシア軍による対独戦勝記念日の大規模な軍事パレードに登場したプーチン氏は「代役」ではないかと推測したと、英紙「デイリー・ミラー」紙が報じた。しかし、プーチン氏の死は隠される可能性がある。プーチン氏の側近は、権力を握り続けるために、彼の死を数週間あるいは数カ月も、秘密にしなければならないからだ。

 同情報筋は、「プーチン氏の側近が本当に恐れているのは、彼の死が発表されると、クレムリンでクーデターが発生する可能性があり、ロシアの将軍は彼らの軍隊をウクライナから撤退させたいと思うだろう」と述べた。

(翻訳・徳永木里子)