世界保健機関執行委員会室(Thorkild Tylleskar, CC BY-SA 3.0 , via Wikimedia Commons)

 世界保健機関(WHO)は29日、動物由来のウイルス感染症「サル痘」について、従来継続的に発生してきたアフリカ諸国以外の欧米を中心とした23カ国で今月、257人の感染が確認されたと発表した。

 WHOはヒトからヒトへの感染を認め、流行地域のアフリカに関わりのない感染者が相次いで確認されているのは「極めて異常」と指摘した。子供や免疫力が低下した人が感染すれば重症に陥る恐れがあるとし、各国に感染者の隔離などを呼びかけている。

 サル痘の症状は天然痘に似ていて、発熱と発疹を伴う。サル痘は密接な接触によって人から人へ感染し、感染者には発熱、悪寒、疲労、頭痛、発疹、筋肉痛、リンパ節の腫れなどの症状が現れる。

 WHOの世界的な感染症対策部門の責任者シルヴィ・ブリアン氏は、27日の世界保健総会(WHA)に出席し、サル痘ウイルスは多くの国で極めて異常に拡大していることに言及し、今見られているのが氷山の一角に過ぎないかもしれないと述べた。

 今のところ、死者は報告されておらず、日本での感染も確認されていない。

 後藤茂之厚生労働大臣は27日、感染予防に有効とされる天然痘ワクチンをテロ対策の一環として国内で生産・備蓄していることを報道陣に明かした。

(翻訳・徳永木里子)