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 ロシア・ウクライナ戦争が世界の情勢を変えた。ロシアの後、中国共産党(以下、中共)が米国と西側同盟国の唯一の主敵となることは、時事評論家の概ね一致するところである。このような背景から、中共当局は毛沢東時代の対応路線を繰り返しているように見えた。ここ最近の複数の大きな動きを見ると、中共は台湾に戦争を仕掛けることで国内の対立をそらす準備を進めており、国境の閉鎖を図っているように見える。

 中共司法部(法務省に相当)弁護士公証活動管理司と中国公証協会は4月24日、公証機関に対し、中国人の個人的な海外投資の公証を取り扱う際、国の規制に従うべきで、「当事者に外国為替管理局などの承認書類や、国外での勤務経験や正当な収入源を証明できる関連書類の提出を求め、公証の代替方法を認めない」ことを要求する通知を出した。

 この措置に対して、「金の流出を防ぎ、実際に多数の移民を阻止するためだ」との意見があった。「中国国内では、個人のオンライン送金は1年間で5万米ドルが限度であり、5万米ドルを超えると窓口で手続きをしなければならない。けれどこの場合、留学や公務以外は基本的に許可されない。この通知はこのようなことを明言しているだけだ」と、中国人の国外への逃亡の扉はとっくに閉ざされているとの声もあった。

 時事評論家の公子沈氏は、最近の中共の一連の動きをまとめ、状況判断をツイートした。「BOコム・インターナショナル・ホールディングス(交銀国際控股有限公司)の取締役社長、洪灝(こうこう)氏がネット上でブロックされ、東北証券の首席と沐京(もくきょう)基金のマネージャーが発言を禁止され、大量の財経アカウントがブロックされ、パスポートが上納され、移民が制限されている。本当に嵐のようで、窓が閉まりそうだ。谷愛凌(こくあいりょう)は自家用ジェット機で米国に逃げ帰った。戦狼の呉京もタイに逃げ隠れた。彼らはニラ(中共が人を弄ぶという喩え)と一緒に埋葬されることはない。国境閉鎖後にどんなことが起こるのかを知りたいなら、1949年以降の中国歴史を読もう」とつぶやいた。

 時事評論アカウントLTは、最近、中共が国際制裁を受ける際に海外資産を保全する方法を議論する準備をしていると、海外メディアが報じたことに気づいた。これは何のためかと言うと、中共が国際的な制裁を発動させるような挙動を計っており、その最大の可能性は「台湾攻撃」だと同アカウントが分析した。

 中国では、災難がいつでも起こる可能性があるが、中国人が海外へ逃げることは日ごとに難しくなっている。英文サイト「改変中国(中国を変える)」の編集長である曹雅学氏は1日、ボイス・オブ・アメリカ(VOA)とのインタビューで、「上海人、あるいは中国人には逃げる場所がない」と述べた。一部の金持ちは脱出できるかもしれないが、大多数の中国人は中国に留まらなければならず、「この人たちには、中国の内外面を変え、制度レベルで関与する方法を考えるしかない」と語った。

(翻訳・徳永木里子)