アルバニアの教授や記者であるOlsi Jazexhi氏(イメージ・YouTubeスクリーンショット)

 中国政府は今年初めから一部の外国メディアを新疆に招待して取材を行わせたが、いずれも役人が随行し、政府の定めた場所にしか行けなかった。その後、中国政府は新疆の「収容所」に対する一部の外国メディアの好意的な報道を大々的に宣伝し、新疆の人権状況に対する多くの国家の批判に反論した。

 自由アジア放送とドイツの声(Die Stimme Deutschlands)の報道によると、8月25日と26日、アルバニアの教授や記者であるOlsi Jazexhi氏はYouTubeに動画を掲載し、「中国の皆さんにはかなり申し訳ないが、接待を受けたにもかかわらず、新疆の状況を『強制収容所』と呼ばなければならない。そこは本当に崩壊寸前だった」と語った。

 Olsi Jazexhi氏は次のように説明した。新疆における訪問は事前に手配されたもので、訪問団は行動の自由が全くなく、出会った村民たちの多くは、当局が選んだ標準答案を暗記している人たちだった。しかし、現地の人々の内心の恐怖はいたるところで感じられた。モスクに行っても、いたるところで恐怖を感じることができた。北京当局が訪問団を配置して参観させたのはがらんとしたモスクだった。

 記者団がアクス市のいわゆる職業訓練センター(強制収容所)を訪問した時、そこにいた若い男女は、平均1~2年間拘束されていた。彼らが拘束されている理由は、こっそりコーランを読んだ、1日5回の礼拝を行った、インターネットで宗教文献を読んだ、といったものだった。しかし、センターの教官は記者団に対し、これらのムスリムは「過激派」であり「テロリスト」だと主張した。

 収監者たちはまず罪を認め、コーランを読んだり礼拝をしたりして法律に違反したことを認めなければならない。その後、悔い改めなければならず、最後に自発的に職業訓練を受けなければならない。新疆のムスリムは2つの選択肢しかない。監獄に入るか、または北京当局の洗脳を受けなければならない。

 Olsi Jazexhi氏は、これらのいわゆる職業訓練センターは、完全にジョージ・オーウェルの小説「1984」が描いた全体主義社会をモデルに作られたものだと言った。21世紀にまだこのような政権が存在するとは信じられないと述べ、この出来事をきっかけに北京政府と決裂した。
 
 ある中国の役人がメディア関係者たちに感想を聞いた。Olsi Jazexhi氏は次のように述べた。本当に恐ろしいことだ。このように集団でウイグル人を辱めることは、中国を傷つけることに等しい。その後、役人は怒った。ある役人は脅迫的な口調でOlsi Jazexhi氏の同僚に対し、帰国後ウイグル問題について批判的な報道をしないよう求めた。役人はさらに記者に、拘禁されたイスラム教徒に無料の教育と食事を提供しているのだから、なんら批判される筋合いはないと主張した。

 役人によると、新疆にはこのような職業訓練センターが68ヵ所ある。Olsi Jazexhi氏は、彼が参観したアクス市の職業訓練センターですら大変な状況であるのに、他のセンターはさらにひどい状況ではないだろうかと推測している。

 中国の白書は、これらの措置はテロを予防するためだと主張している。しかし、Olsi Jazexhi氏はこれらがウイグル人に対する集団拘禁、侮辱であり、かえってウイグル人を過激化させ、悪果をもたらすだろうと考えている。

(翻訳・柳生和樹)