天安門広場(gdczjkk, CC BY 3.0 , via Wikimedia Commons)

 ウクライナの町ブチャで、大量の民間人がロシア軍に殺害された事件は、世界各国の反発を引き起こした。しかし、中国共産党(以下、中共)は中立の立場を維持し、自制を呼びかけていた。中共の国営メディア中央テレビ(CCTV)が5日、「フェイクだ」と反発するロシア側の主張を中心に報じた。国際的な世論の圧力の下で、中共は空前の孤立状態に陥っていると見ている評論家もいる。

 西側諸国は、対露制裁をエスカレートさせる計画だ。米国は6日、先進7カ国(G7)および欧州連合(EU)と共同で、ロシアでの新規投資を禁止するなど、ロシアの金融機関、政府高官およびその家族に対する新たな制裁措置を発表した。英国はG7と北大西洋条約機構(NATO)に対し、ロシア船の加盟国への入港を禁止し、ロシアからの石油・天然ガスの輸入を段階的に停止するよう要請した。

 西側諸国が対露制裁をエスカレートする中、中共は中立な態度を貫いている。

 中国の張軍(ちょう・ぐん)国連常駐代表(国連大使)は5日の安保理会議で、当事国が武力紛争において国際人道法を遵守し、いかなる形の民間人に対する暴力も避けるべきと呼びかけ、民間人に対する攻撃は容認できず、行ってはならないが、いかなる告発も事実に基づくべきと主張した。「ブチャで民間人が死亡したとの報道と動画は非常に憂慮させるものであり、事件の経緯と具体的な原因を明らかにしなければならない。いかなる告発も事実に基づくべきであり、結論が出る前に、すべての関係者は自制し、根拠のない非難を避けるべきである」と述べた。

 香港城市大学の元政治学教授である鄭宇碩(てい・うせき)氏は、中共はロシアとの友好的な戦略的パートナーシップを維持することが重要だと考えていると述べた。ロシア・ウクライナ戦争が勃発して以来、世論の圧力を直面しても、中共は中立な立場を主張し、対露政策を調整する余地も限られているが、中共はそのために、国際的なイメージを損なう代償を払わなければならない。

(翻訳・徳永木里子)