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 中国では、お茶を淹れる時、「一煎目」、つまり最初のお茶を飲まずに捨てる人が多いです。これはなぜなのでしょうか。茶葉を洗うためなのか、茶葉を覚ますためなのか、それとも茶葉を潤すためなのでしょうか。

 お茶を洗う?

 「お茶を洗う(洗茶)」のは、茶葉が汚いからだと誤解されることがよくあります。しかし、洗茶は、中国五千年の飲食文化の具現化であり、中国茶道の精神的な意味が含まれています。
古来、中国の飲食文化の思想と審美の趣は、主に二つあります。一つ目は、飲食は衛生を重視することで、二つ目は、材料の選択と調理方法を重視することです。洗茶という手順は、まさにこの飲食文化の喫茶における表現の一種です。

 お茶を覚ます?

 「お茶を覚ます(醒茶)」とは、茶葉の冷気を流すという意味です。なぜ茶葉は冷気を含むのでしょうか?それは、加工されたばかりの茶葉は火気が強いので、直ぐに飲用するのではなく、しばらく放置し、保管してから飲むのが一般的です。しかし、しばらく保管すると、火気は消えますが、かえって冷気が増すようになります。保管期間が長くなれば、陳気(湿気)すらでてしまいます。さらに、近代以来、茶葉を冷蔵庫に保管することが増え、茶葉の冷気がさらに増すようになりました。

 この状態の茶葉を直接淹れると、香りと味が欠けています。そのため、お茶はしばらく保管した後、「醒茶」をする必要があり、冷気を取り除いてから淹れる必要があります。そうすれば、茶葉の香りと味がもっと良くなるはずです。

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 お茶を潤す?

 お茶を淹れる時、小さくなっている茶葉を浸潤し、広げることで、味が出やすくなります。お茶を潤す(潤茶)という過程は、茶汁の浸出に役立ちます。これは「醒茶」と同時にできる一煎目ならではの役目です。潤茶の過程を経て淹れた茶汁は、香りと味がより速く一番良い状態になるのです。

 最初のお茶の湯を飲まずに捨てるのは、お茶の汚れを洗い流すと解釈する人が多くいますが、実はそうではありません。昔から伝わってきた「洗茶」は、「汚れを洗い流す」と言うより、主にお茶の香りと味をより引き出すための過程なので、「お茶を潤す」や「お茶を覚ます」と言ったほうが適切でしょう。

(翻訳・金水静)