ボリス・ロマンチェンコさん(ツイートより)

 第二次世界大戦中に4つの強制収容所を経験した96歳のボリス・ロマンチェンコさんが、ウクライナのハリコフにある彼のアパートでロシアの砲撃により死亡したと、ドイツのブーヘンバルト・ミッテルバウドーラ記念財団が21日、発表した。

 ロマンチェンコさんの孫娘によると、ロマンチェンコさんは18日にロシア軍による一連の砲撃で破壊されたハリコフのアパートに住んでいた。第二次世界大戦でナチスの強制収容所で生き残った老人は結局戦火で命を奪われてしまったという。同財団21日のツイートで分かった。

 同財団によると、ロマンチェンコさんは1926年1月20日、ウクライナ北東部スムイ近郊ボンダリで生まれた。ユダヤ人ではなかったが、16歳だった1942年に独西部ドルトムントに連行され、労働を強いられた。逃走を試みたが失敗し、1943年にブーヘンバルト強制収容所に送られた。第二次世界大戦中に5万3000人以上がブーヘンバルト強制収容所で殺害された。その後、ペーネミュンデ強制収容所に移され、V2ロケットの建造を手伝った。ミッテルバウドーラ、ベルゲンベルゼンにも収容された。

 ウクライナ大統領府のアンドリー・イェルマーク長官は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が「非ナチ化」をウクライナへの侵攻理由の一つに挙げていることに触れ、「これが彼らの呼ぶ『非ナチ化作戦』だ」と非難し 「ロマンチンコさんの死が、全世界にロシアの残虐さを見せつけた」と非難した。

 ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は21日、メディアとのインタビューで、プーチン大統領と会談し、ロシア軍に占領されたウクライナ東部の領土問題について話し合う用意できたと述べた。

 ゼレンスキー氏は、ウクライナとロシアの和平交渉が合意した場合、国民投票に委ねられると指摘した。 また、ロシアのプーチン大統領と会わなければ、交渉を通じてこの戦争を中止することはできないと強調した。

(翻訳・藍彧)