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 アンデルセンの童話「マッチ売りの少女」の中で主人公の少女は大晦日の寒い夜、自分にとても優しかった今は亡き祖母のことを思い出した。売り物のマッチを一本ずつ燃やすシーンで、少女は以前祖母が話してくれた事を思い出す。『流れ星が一つ落ちると、魂が一つ「神様」の元へ向かうのよ』と… 

マッチ売りの少女[Anne Anderson (1874-1930) パブリック・ドメイン]
 しかし、中国の最新版の教科書では『流れ星が一つ落ちると、一人が亡くなる』と修正された。「アジアニュース」は最近、『中国の教育部(日本の文部科学省に相当)が童話や子供の教科書の中の伝統的な物語から「聖書」、「神様」、「キリスト」などの言葉を消してしまった。国民の宗教への依存及び「同化」を減らすためだという。中国語に翻訳された外国人作家の有名な著書もこれらの言葉について審査を受けた。例えば、ダニエル・デフォーの著書「ロビンソン・クルーソー」に書かれている「聖書」という言葉を、中国共産党はただの「本」に変えてしまった』と報じた。

 「アジアニュース」はまた『中国の大学でもこのような審査を行っている。教授たちが外国語の有名著書を参考文献として引用することが禁止された。これにはアレクサンドル・デュマ・ペール著の「モンテ・クリスト伯」、レフ・トルストイ著の「復活」やヴィクトル・ユーゴー著の「ノートルダム・ド・パリ」なども含まれている』とも報じた。

 また、人権活動家である弁護士・滕彪 (とう ひょう)氏は、最近「ニッケイ・アジア・レビュー(日本経済新聞社の英字雑誌)」の取材を受けて、「中国共産党による“言論の自由”の制圧の動向及び検閲システムによる被害」について語った。

 滕彪氏は取材に対し『今の(中国の)大学生は情報へアクセスするとき、以前に増して制限を受けている。ファイルウォールに加え、大学教授たちも怖がって政治的にセンシティブな問題を論じることを避けている。監視設備もますます増え、中国人は「不適切な発言」に対し極端に慎重になっている。現在、中国の大学には「論じてはいけない七つの問題」がある。それは「全人類共通の普遍的な価値」、「報道の自由」、「公民社会」、「公民の権利」、「中国共産党の歴史上の誤り」、「ブルジョワジー」、「司法の独立」の七つのだ。現在、多くの教授たちはこれらのセンシティブな問題について論じる勇気がない。』と語った。

 さらに滕彪氏はこう語った。 「インターネットに対する中国共産党の管理がますます厳しくなっている。中国人がセンシティブなメッセージを発信すれば、すぐ警察が発信者の家に来る。現在、中国の大学では啓蒙的な教育を受けることがますます難しくなっている。そのために中国人の若者は我々の時代のように独立した思考を身につけられない。また、中国国内ではシニシズム(犬儒主義・冷笑主義)が流行している。多くの若者は忠誠な快楽主義者であり、ただ物質的利益を楽しむ生活を享受するだけだ。自由主義の思想を持っている人もいるが、恐怖のため行動に移すことができない。デジタル技術は人々に豊富な知識を提供するはずだが、皮肉にも中国人にとって価値ある情報に触れることがますます困難になっている」

※公民:参政権・選挙権・被選挙権がある国民
※ブルジョワジー:(仏: Bourgeoisie)中産階級の事。貴族・農民と区別して使われた。
※センシティブ:敏感な物事(主として中国共産党が好ましく思わない事象をいう)

(翻訳・宛 漣音)