国連ビル(イメージ / Pixabay CC0 1.0)

 国連は2日、緊急特別会合を開き、ロシアのウクライナ侵攻を非難し、即時撤退を求める歴史的な決議案を、賛成141票、反対5票の圧倒的多数で採択した。中国共産党(以下、中共)政権は投票を棄権した。

 同決議には法的権限はないが、投票に参加した181カ国のうち反対したのは5カ国だけだったことから、ロシアによるウクライナへの侵攻に対する世界の結束の象徴と見ることができる。米国をはじめとする141カ国が賛成し、中国、キューバ、イランなど35カ国が棄権した。ロシア、ベラルーシ、エリトリア、北朝鮮、シリアは反対票を投じた。

 投票に先立ち、リンダ・トーマス・グリーンフィールド米国国連大使は「このような国連の緊急会合は40年ぶりで、“異常な瞬間”である」と表現した。

 グリーンフィールド氏は「ロシアのウクライナ侵攻はジュネーブ条約に違反する戦争犯罪である」と主張し、国連は「戦争を防ぐ」ために設立されたと強調した。

 ウクライナ非常事態庁は「戦争勃発以来、約2,000人のウクライナ人と5,000人のロシア兵が死亡した」と発表した。ロシア政府は2日「ウクライナでこれまでに498人のロシア軍兵士が死亡、1,597人が負傷した」と初めて公表した。

 ロシアの侵攻に対し、米国、カナダ、日本、オーストラリア、ニュージーランド、欧州の数十カ国は、ロシアの銀行、企業、ロシア政府、プーチン氏、その他の高官に対し、厳しい制裁を課している。

 中共外交部の汪文斌副報道局長は、2日の記者会見で「対ロシア制裁に反対する」と表明し、制裁は問題を解決できないと主張した。

 同日、中国銀行保険監督管理委員会(銀保監会、CBIRC)の 郭樹清主席も「中国はロシアに金融制裁を課さない」と発表した。郭氏は、中共当局の金融分野におけるトップで、米国における米連邦準備制度理事会(FRB)の議長に相当する人物である。

 今のところ、中共政権はロシアの侵攻の直接非難を拒否している。

(翻訳・徳永木里子)