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 「習近平を客観的に評価する」と題する4万字の評論が1月19日、「方舟与中国」という匿名の発信者によって発表され、議論を巻き起こした。

 同記事では、習氏が「虚偽の業績」「空洞化された政治基盤」「官僚システムとの対立」という3つの危機に直面していると指摘した。2022年が習氏にとっての最大の転換点となり、たとえ何らかの手段で再任を果たしたとしても、2027年には全面的に崩壊すると結論付けた。

 中国共産党史研究家、高文謙(こうぶんけん)氏はボイス・オブ・アメリカ(VOA)とのインタビューで、「同記事が発表されたタイミングが鍵である」と述べた。「昨年の第19期中央委員会第6回全体会議(6中全会)で党内の深刻な分裂が露呈し、双方の攻防が繰り広げられる中、反習勢力による最新の衝撃発言と言える」「硬直した独裁国家は脆く、いつどこで崩壊してもおかしくない。旧ソビエト連邦の突然の崩壊のように」

 同氏はまた、「江沢民と薄熙来(はくきらい)のごまをすっているところから、筆者が中国共産党の制度を支持し、反共ではなく反習であることがわかった」と分析し、「習氏は権力のピラミッドの頂点に立っている。しかし、彼の周りには信頼できる人がおらず、彼の部下には有能な人もおらず、四面楚歌の状況に置かれている」と述べた。

 米コネチカット州トリニティ・カレッジの文貫中(ぶんかんちゅう)教授は同記事について、「一帯一路」を「一代一路」に間違えたのはおかしいと指摘した。「筆者は、おそらく経済学者ではなく、政治学者であると推測した。また、作風からして1人ではないという。

 歴史学者の高伐林(こうばつりん)氏は、「中国共産党体制内の勢力が合意し、習氏の再任への歩みを阻害しようとしているように見受けられる」「数人が構想して執筆し、最後に1人が原稿を編集して完成したものだ」と分析した。

 「北京之春」誌の名誉編集長である胡平(こへい)氏は、同記事は中国に在住する人によって書かれたものだと考えている。

(翻訳・徳永木里子)