北京市延慶区にある2022冬季五輪の競技会場(YouTube動画のスクリーンショット)

 北京冬季五輪が4日に開幕。中国共産党(以下、中共)当局は、冬季五輪の支出統計から数十の項目を省略しており、実際の費用は公式に伝えられた数字の10倍と推定されると、海外メディアの調査で分かった。

 中国公式メディア中国環球電視網(CGTN)は、2022冬季五輪の開催経費はわずか39億ドル(約4460億円)で、2008年の夏季大会の68億ドル(約7780億円)を大幅に下回ったと報じた。習近平氏が求める「グリーン・安全・シンプル」に沿ったものだと宣伝した。

 しかし、米ビジネス専門ウェブサイト「ビジネスインサイダー」1月30日の報道によると、中国が北京五輪に費やした経費は385億ドル(約4兆4030億円)に達しており、公式発表の10倍近く、当初予算16億ドルの24倍にもなるという。中共の体制は透明性に欠けているため、むやみに吹聴する「権利」を持ったようだ。

 中共の公式統計では数十のプロジェクトが省略されており、複数の主要競技会場、特に「氷のリボン(氷糸帯)」という愛称で知られる国家スピードスケート館は2020年に完成竣工し、2017年には1億8660万ドル(約210億円)と推定された費用さえも省略されているという。また、北京国家体育場(鳥巣)や北京国家水泳センター(水立方)など、2008年大会に建設された複数の会場を再利用しており、当局がこれらのリフォーム工事にどれだけの費用をかけたかは不明である。

 スポーツ経済学者のアンドリュー・ジンバリスト氏は、「(中共に)高度に中央集権的で統制されている中国から、詳細で正確な情報を得ることは難しい。今のところ(五輪の)予算は見ていない。交通施設やスポーツインフラ、選手村の建設費用などが言及されてない。公式の数字や予算の数字のいずれも非常に疑わしいものだ」と述べた。

(翻訳・徳永木里子)