ゴーマン氏(Ipea, CC BY 2.0, via flickr)

 昨年、中国共産党(以下、中共)から禁輸などの報復措置を受けた、台湾とオーストラリアは、皮肉にも昨年における中国の輸入超過国となった。

 中国税関が発表した最新のデータによると、昨年1年間、台湾海峡の状況はかつてないほど緊迫しており、中共が予告なしに台湾産パイナップルなどの農産物の輸入を禁止したにもかかわらず、台湾と中国の貿易額は28%増の3283億米ドル以上に急増した。台湾は中国から1716億米ドルを稼ぎ、中国の輸入超過総額の36.5%を占める最大の供給国になったという。

 中共に厳しい態度を取ってきたオーストラリアは、中共から報復措置として、石炭やワインなどを輸入禁止されたが、中国との貿易額は35.1%増で、2,312億米ドルを超えた。それどころか、中国の輸入超過で第2位となった。

 「石炭禁輸」の波で豪州が勝ち組

 オーストラリアは、新型コロナウイルス(中共ウイルス、SARS-CoV-2)の起源調査を主張したことで、2020年12月に中共から石炭やワインの禁輸など一連の経済制裁を受けた。

 しかし、中国は深刻な電力不足問題を抱えており、火力発電用の石炭が圧倒的に不足しているため、「オーストラリアの石炭禁輸令」は、まさに身から出た錆と言えよう。

 最近、インドネシアは1月に急遽、石炭の輸出一時停止を発表した。インドネシアの石炭の60%以上は中国に輸出されており、冬場の電力不足に直面する中国をさらに圧迫している。格付け機構フィッチ・レーティングスによると、中共は禁輸措置を解除し、オーストラリアから発電用石炭を購入する可能性があり、日本、韓国、インドなど禁輸措置の影響を受けた国も、オーストラリアから石炭を購入しかねない。オーストラリアはまさに「石炭禁輸令」の波の勝ち組である。

 台湾のパイナップルが国際的注目の的

 台湾のパイナップルは9割が中国に輸出されている。2021年2月25日、中共は一方的かつ突然に、台湾産パイナップルが「検疫」に引っかかったとして、3月1日から輸入を停止すると発表した。台湾はこれに対して、明らかに正常な貿易上の考慮に基づいた北京当局の行動ではないと強く非難した。

 中共が急遽台湾産パイナップルの輸入を禁止したことで、台湾では「パイナップル救済キャンペーン」を展開したところ国内外から注文が殺到し、その結果、パイナップルの売り上げが前年の中国への販売数を上回った。

 日本をはじめ、アメリカ、カナダ、インド、イタリアなどの各国メディアが台湾産パイナップルを大々的に報道し、政府要人も注文を呼び掛けた。さらに、日本のスーパーではあっという間に売り切れて供給不足になったほどの売れゆきとなった。

 民主的な中共「包囲網」の台頭

 中共が報復的貿易措置として、台湾産パイナップルを禁輸したことに対し、「民主主義確立のための同盟」の研究者リンドセイ・ゴーマン氏は、台湾当局が「#FreedomPineapple」キャンペーンを利用して、世界の民主的支持者にパイナップル販売を促進し、中共政権に対抗する立場を表したとの見解を示した。

 ゴーマン氏によると、米国が主導した民主同盟国の結集は、パイナップルをめぐり世界中から圧倒的な支持を得て、反共産主義の民主連合が立ち上がりつつあることを示しているという。

 また、中共を率直に批判した政府が経済的報復措置を受けた場合、世界中の消費者から支援される機会を得られる。これは中共の一方的な報復措置の惨敗を意味し、裏目に出た結果と言わざるを得ないだろうという。

(翻訳・北条)