ドキュメンタリー「馬三家からの手紙」の主人公孫毅氏(スン・イー、?―2017年10月1日)(イメージ:Leon Lee)

 英国の国民保健サービス(NHS)職員(24歳、女性)は、中国の囚人IDカードが縫い付けられたコートをネットで購入したと、22日にツイートした。これが救助を求める声ではないかと疑っている。

 同職員は、ネットで49.99ポンド(約7700円)のコートを購入し、コートの裏地に縫い付けられた中国の囚人IDカードに「湖南省岳陽刑務所」「基礎レベル」と書かれたことを発見した。「これは奴隷労働者の遭難信号かもしれない」と語った。

 このコートは、安価な労働力を求めて中国に製品生産を委託している英国企業Whispering Smith Group Plc(ウィスパリング・スミス・グループ有限会社)の中核ブランド「ブレイブソウル」の商品である。

 英国の低価格アパレルブランド「プライマーク」の顧客であるシャーキール・アクバールさん(男性、当時25歳)は2015年、中国の拷問被害者が書いた助けを求める手紙を綿の靴下の中に見つけた。

 アクバールさんは携帯電話の翻訳アプリで手紙の内容を英語に訳した。それは、誣告され、脅迫され、詐取されてから、ひどい拷問を受けたという男性の必死の訴えであったことがわかった。

 中国安徽省の丁廷坤(てい・えんこん)という人が書いたとされた手紙には、「私は霊璧県(れいへきけん)人民法院に冤罪と濡れ衣を着せられ、2014年6月29日に不当に懲役3年の実刑判決を宣告された。現在、霊壁県拘置所に強制的に拘禁されている。心身ともに極度の拷問と傷害を受けた!」、「この手紙を読んだ人は、習近平国家主席、李克強総理に渡すか、記者やメディアを通じてこの件を暴露してください!」と書かれていた。さらに、「私も妻も迫害により障害が残っている」と付け加えられていた。

 アムネスティ・インターナショナル(AI)の広報担当者は、「中国やその他の地域で事業を行ういかなる企業も、人権を尊重する責任がある」とし、「海外で活動する英国企業に対する人権調査の義務付けを検討するよう、英国政府に対し要請する」と述べた。

「馬三家からの手紙」予告編:

(翻訳・徳永木里子)