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 中国江蘇省政府は23日、「鎖でつながれた女」事件における調査結果を発表したが、「全くのでたらめ」だと見なされた。

 独立ジャーナリストの高瑜氏は同日ツイッターで、江蘇省当局の対応について、誘拐と人身売買の犯罪は豊県董集村に留まり、公務員の職務怠慢の追究も豊県に留まっていると指摘した。

 海外のソーシャルメディアで、「江蘇省当局のこの調査結果は歴史に残るものであり、後世の中国人に、我々が生きている時代がいかに暗黒・残酷・血生臭く・不条理であるかを見せ示すことができる!政権全体が公然と『鎖でつながれた女』を強姦、奴隷化し、国民を酷使する残虐な顔を赤裸々にさらけ出しても何とも思わない素振りを見せている!」というコメントが多くの心の声を言い表しているだろう。

 発表当日の夜、人民大学、北京大学、清華大学、山東大学の卒業生800人以上がオンライン署名活動を展開した。江蘇省政府に対し、政府情報公開条例に基づき、調査報告書の関連情報を公開するよう要求した。湖南省郴州市では、「鎖でつながれた女」事件における女性の人身売買、レイプ、及び不法な拘束など一連の悪質な行為の徹底究明を求め、村民20人がデモを申し込んだ。

 世論を抑えることに長けている中国共産党にとって、これは予想外の出来事であろう。同事件の波紋により、中国の時勢と人心は過去と異なってきたと分析する海外のアナリストがいる。ネットユーザーからのコメントもこの変化を物語っている。「彼女(鎖でつながれた女)が地獄にいると思い、救おうとして声を上げたのに、何日経っても何も変わらなかった。やっと、自分も地獄にいることに気がついた」

 ラジオ・フリー・アジアは23日、政治経済学者の李恒青氏の評論を掲載した。同氏は、同事件のキーワードは「真実の力」であり、権威国家の最も希少な産物であると述べた。中国当局が同事件の真実をもみ消そうとしているのは、独裁政権にとって真実は致命的であるからだ。チェルノブイリ事故が旧ソ連を滅ぼしたのと同じように、鎖でつながれた女事件に隠された真実は、恐怖を呼び起こし、平和を繕っている中国人たちでさえ動揺せずにはいられないと、同氏が分析した。

(翻訳・徳永木里子)