ロシアでの習近平(KEIKO KAWASOEのTwitterより)

 中国共産党(以下、中共)の習近平総書記は15日、ロシアのプーチン大統領とオンライン会談を行った。

 ロシアのウシャコフ大統領補佐官(外交政策担当)は会談後、習氏を「友人」と表現し、今回の会議は非常に前向きなものだったと述べた。ウシャコフ氏は、プーチン氏が習氏に、米国と北大西洋条約機構(NATO)に対するロシアへの安全保障を要請したことを述べ、習氏もこれを支持したと述べたという。

 これはプーチン大統領が今回のビデオ会議を行った主な目的の一つであるはずだ。そして、習氏の発言は、中国とロシアの戦車を結びつけている。プーチン氏は、米国およびNATOとの即時協議を要求し、NATOが東方への拡大を止め、ウクライナや他のロシア近隣諸国への脅威的な兵器の配備を排除するというロシアへの法的保証を相手側に求めている。ロシア側は、そうでなければ「軍事的に」対応する可能性があると警告した。

 中国とロシアがそれぞれ台湾とウクライナを標的として同時に戦争を引き起こすのではないか、とアナリストが懸念している。

 米国のシンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)のリチャード・フィッシャー上級研究員は、今週初めに自由時報の論説で、2021年にロシアと中国の軍事協力が大幅にエスカレートし、同盟に近いほどであり、独裁的な中共の対台湾戦争で「最も重要な要素」は、プーチン氏がウクライナ領土の奪取に成功するかどうかだと警告した。

 フィッシャー氏によると、米国の情報システムは、プーチン氏が2022年初頭、北京冬季五輪後に、ウクライナに対して多面的な攻勢を展開する可能性が高いが、これが中共による台湾への武力侵攻の前哨戦となる可能性が高いと推定している。そのため、北京冬季五輪の「世界的なボイコットを推進する必要がある」と呼び掛けた。

 軍事専門家の紀永添氏は、台湾メディア「上報(UP Media)」15日付の記事で、ロシアがウクライナに侵攻した場合、台湾は直ちに警戒態勢に入るべきだと述べた。

 紀氏によると、米政府はロシア・中国の脅威の深刻さを誤審しているため、ウクライナや台湾の問題で米国の決意を表明する具体的行動をとるのが遅れているという。ウクライナ戦争や台湾海峡危機が相次いで勃発した場合、相手は核武装した2大国であるため、米国は対処が難しくなるだろう。米国は戦時を小規模にとどめることが難しいだけでなく、NATO、日本、オーストラリア、インドを戦争に巻き込むことになり、ほとんど第三次世界大戦の勃発に等しいものとなる。

 紀氏は台湾に対し、米国がウクライナで追い詰められることを想定し、中共の第一波の攻撃から単独で防衛する能力を身につけ、同時にウクライナにも目を配り、ロシアの侵攻があった場合、直ちに国軍の警戒を強化する必要があると助言した。

(翻訳・徳永木里子)