中国上海市の不動産開発会社の世茂集団が最近、中国投資者の間で債務不履行に陥ったという噂が流れており、外国投資家の不安を引き起こしました。同会社はこれまで良質な企業と見なされてきたため、こういう企業にも危機が訪れたことに、衝撃は大きかったようです。専門家は同会社の危機は「中国恒大より懸念すべきだ」と指摘しました。

 ブルームバーグの15日付によると、同社は多くの投資家にとって、今や中国不動産セクター最大の懸念事項です。同社のドル建て債は15日も値下がり、香港上場株は前日比2.5%安で引け、4営業日続落となっていました。

 これについて、スイスのプライベートバンクであるロンバー・オディエのアジアクレジット責任者、ディラジ・バジャジ氏は「世茂のデフォルト(債務不履行)は中国恒大よりずっと悪いというのがわれわれの意見だ」と述べ、「中国恒大は大きくレバレッジ(借り入れ)に依存している事業体として知られている。上海などの質の高い市場に焦点を絞った観光業やサービス、開発を手掛ける良質な企業がこの危機を生き残ることができなければ、グローバルな信頼感は永久に失われるだろう」と指摘しました。

 中国政府の今後の対策について、ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のアナリストは、世茂のような不動産開発会社が財務トラブルに陥ることを防ぎ、社会が不安定化するリスクを抑制するために、中国政府は不動産規制を一段と緩和せざるを得なくなるかもしれないと分析しました。

 このほか、広州富力地産も来月13日に満期を迎えるドル建て債7億2500万ドル(約824億円)相当の保有者に、支払期限の6カ月間延長を要請しました。

 また、上海証券取引所にこの社債の一部を額面に対し17%安い価格で買い戻すことも提案し、デフォルトを回避しようと図っています。

(新時代Newsより転載)