BfV( Stefan Kühn at German Wikipedia., CC BY-SA 3.0 , via Wikimedia Commons)

 ドイツ国内での反憲法活動を調査する情報機関、連邦憲法擁護庁(BfV)の機密報告書によると、中国共産党政権が「サイバー攻撃への大規模な兵器庫」を保有しており、そのハッキング組織によるドイツの政治体制に対するハッキングやスパイ活動が増加していることが、このほど明らかになった。

 BfVの報告書によると、攻撃対象は「連邦議会議員や政治団体の個人的な電子メール」であり、各政党の電子メールやウェブサイト、及び政府や連邦軍職員の電子メールも影響を受けている。BfVは、中国当局が「サイバー攻撃への大規模な兵器庫」を持っており、これらの攻撃を「真剣に受け止める必要がある」と述べた。

 BfVが中国からのハッキングについて警告したのは今回が初めてではない。 BfVは2019年末、世界最大の総合化学メーカー「BASF(ビーエーエスエフ)」、電信機製造会社「シーメンス」、洗剤・接着剤関連製品を製造する「ヘンケル」などの大手企業を含むドイツ企業に、進行中のサイバー攻撃に注意を促した。これらの企業は、長年にわたって中国から1つあるいは複数の専門的なハッキング攻撃を受けている。

 それだけでなく、2013年9月にロシアで開催されたG20サミットの前、多数のドイツ政府高官と銀行の一部幹部が「スパイウェア」が搭載された電子メールを受信し、これらの「スパイウェア」が盗んだ情報を中国に送信していると、ドイツ週刊誌『デア・シュピーゲル 』(Der Spiegel) が2014年に報じた。BfVは以前も、2010年にドイツ政府のコンピュータを狙った攻撃の半数が中国からのものであると指摘した。

(翻訳・徳永木里子)