(ネットより)

 中国四川省の病院で、ある男性(患者)が11月28日、医師を切りつけた後、ビルから飛び降り自殺した。中国の医療制度の問題によって、医師と患者の関係が悪化していると、アナリストが分析した。

 四川省隆昌市(りゅうしょうし)公安局が11月29日に出した通達によると、11月28日20時頃、同市人民病院の建物から何者かが飛び降りたと警察に通報された。入院患者の熊某明(男、67)が医療従事者と入院患者を切りつけた後、飛び降りて死亡した。現在、負傷した2人は病院で治療を受けており、命に別状はないとのこと。

 警察側は事件の詳細を公開していない。

 現在、中国で医師と患者の対立が激化しており、というのも、中国の医療サービスシステムが過度に商業化された結果だと分析した人がいる。難病や重症は、国民健康保険の適用外になる。患者にお金がなければ、病院側は治療してくれない。このような医療サービスを根本的に変えなければ、中国社会では医師と患者の対立は激化していく一方である。

 北京市在住の権利活動家で、長年肝臓病を患っている胡佳氏は、中国の医療制度には、官僚のみ享受できる「特供(特別提供)」制度があると述べた。官僚しか利用できない専門的な医療資源と、一般人が利用できる医療資源との間には大きな差がある。公的医療制度は国民に最善のサービスを提供せず、医師と患者の関係に悪影響をもたらしている。

 北京市を拠点に公衆衛生の権利を推進する活動家はラジオ・フリー・アジア(RFA)に対し、根本的な問題は中国の医療サービスの分配が不均等であることにあり、開かれた競争力のある医療制度が欠如しており、医師と患者の両方が被害者になってしまったと述べた。「中国のような制度では、患者の不満は、制度を作った政府や与党に向けられない。なぜなら、患者は個人として、制度への異議を唱えることができず、直接相手の医師に八つ当たりするしかできないからだ。」

 近年、中国では医師と患者の関係が悪化しており、死亡事故が頻繁に発生していた。

 2019年12月24日、北京市民航総合病院の救急部の楊文副主任医師は、診察中に患者の家族にナイフで首を切りつけられて死亡した。

 2016年5月、わずか2週間の間に、続けて3件の悪質な医師の傷害事件が発生した。5月5日、広東省人民病院の口腔内科医である陳仲偉医師が自宅で襲われて死亡。5月10日、重慶市石柱トゥチャ族自治県で、ある医師が3人に背中と顔をナイフで刺された。5月18日、湖南省紹東県で患者の家族が医師を殴って死亡させた。

(翻訳・徳永木里子)