中国共産党総書記・習近平(イメージ:Wikimedia Commons/Foreign and Commonwealth Office/CC BY 2.0

 中国共産党(以下、中共)は8日、第19期中央委員会第6回全体会議(6中全会)を開いた。日程は11日までの4日間。中共の代弁者である人民日報は、「免罪符の『丹書鉄券』(注1)もなければ、『鉄帽子王』(注2)なんてものも存在しない」という評論記事を掲載した。これは、中共党内の闘争が依然として熾烈であることを示している。6中全会の初日、習近平総書記は党内の反対派に警告を発した。

 江沢民が中共を実質的に支配していた過去数十年間、江沢民と曾慶紅などの「黙って金を稼げ!」という実践により、中共の官界で腐敗していない人はほとんどいなかった。

 同記事によると、2012年12月から今年5月まで、規律検査・監督機関は、省部級(注3)以上の392人、部局級の2万2千人、県処級の17万人以上、郷課級の61万6千人の中共幹部を対象とした調査を行ったという。中共の公式数字は昔から捏造されてきたが、これらの数字だけでも目を見張るに値する。中共の官僚組織がいかに腐敗しているかを実証できる。

 同記事では、2012年以降の習氏の反腐敗に関する数多くの演説を引用しているが、その中で最も注目すべきは、敏感なフレーズが再び登場したことである。

 「法の支配のもとでは、誰もが幸運に恵まれず、超法規的な恩恵を期待することもできず、免罪符の『丹書鉄券』もなければ、『鉄帽子王』もいない」「見つけた数だけ調査され、罰せられる」

 米国在住の政治経済学者の何清漣氏は、かつて「人民日報が言及した『鉄帽子王』とは誰のことか」という記事の中で、当時の人民日報で言われていた「鉄帽子王」という名に値するのは江沢民と曾慶紅だけだと述べた。

 注1:丹書鉄券とは、前近代の中国において、皇帝が功臣に与えた、鉄に朱で書いた誓文せいもんのこと。功臣やその子孫が罪を犯した時、減免される証となる。丹書鉄契、金書鉄券、鉄券とも呼ばれる。

 注2:鉄帽子王とは、清王朝時代に生まれた制度で、特定の地位(爵位など) や財産を、子孫が代々承継することを指す。鉄の帽子のように壊れにくい冠をいだいている親王という意味である。

 注3:中国公務員では指導職務の行政等級は、おおまかに国家級、省部級、庁局級、県処級、郷科級に分かれている。省部級幹部は、各省・直轄市・自治区の党委員会常務委員・中央各部の副部長以上の高官を指す。

(翻訳・徳永木里子)