中国ではこのほど、電力供給制限の影響が広範に及んでいる。そのうち、東三省の遼寧省、吉林省、黒竜江省では強制的な停電が行われ、民衆の生活に深刻な影響を与えている。冬季の暖房需要に備え、当局は石炭を燃やすことを許可したが、新たな問題が発生した。石炭の大量燃焼で北京のPM2.5濃度が200µg/立方メートル(注)を超えた。

 ブルームバーグによると、中国当局は電力供給問題を解決するため、石炭の生産量を増やすことに決めたが、北京では5月以降最悪の大気汚染が発生したという。

 北京に駐在の米国大使館の大気質指数(AQI)によると、26日午前2時、北京現地のPM2.5濃度は203µg/立方メートルに達し、さらに北京市東南部の通州区付近では264 ~ 267µg/立方メートルに達し、いずれも重度の汚染となっている。ブルームバーグは、その原因は政府が石炭生産量を増加させたことと関連があると分析した。

 また、石炭を燃やして暖を取ることと経済成長を維持することのバランスをどのように取るべきか、また以前に提出された「二重規制(エネルギー消費量・強度の削減 )」政策、特に来年2月冬季五輪の「青空」の確保との兼ね合いが北京当局を悩ませていると、ブルームバーグが指摘した。

 注:PM2.5の環境基準は、1年平均値が 15µg/㎥以下であり、かつ、1日平均値が35µg/㎥以下であること

(翻訳・吉原木子)