劉忠田氏(写真・公式WeChatアカウント)

 中国遼寧省遼陽市に本社を置く中国アルミ大手「中国忠旺」がこのほど、傘下2社が深刻な経営難に陥って自力で解決できなくなったと発表したとともに、独立取締役(社外取締役)3名全員が辞任したと、中国の複数のメディアが17日に報じた。

 「中国忠旺」は15日、傘下の遼陽忠旺精製アルミ有限公司と遼陽忠旺グループ有限公司から、多額の損失により上記2つの子会社およびその関連会社が深刻な経営難に陥っており、様々な努力をしても現在の問題を自力で解決できなくなったとの通知を受けたことを発表した。この2つの子会社は、「中国忠旺」の主要な事業体である。

 報道によると、「中国忠旺」は2020年の年次財務報告書を発表時に、多くの財務データに異常があったという。特に注目すべきのは、帳簿上では1200億元(約2.1兆円)以上の資産があるにもかかわらず、現金が4億元(約71億円)にも満たなかったことだ。

 中国のアルミ大手として、「中国忠旺」は過去3年間、200億元(約3550億円)以上の売上を維持してきた。2018年と2019年の純利益はそれぞれ42億元(約746億円)と30億元(約533億円)。新型コロナウイルス(中共ウイルス、COVID-19)の影響を受けた2020年に純利益は減少したが、それでも18億元(約319億円)に迫る勢いであった。

 香港証券引取所は8月30日、「中国忠旺」が期限内に財務報告書を発表できなかったため、同社株式の取引を停止させた。それ以来、「中国忠旺」の取引はずっと停止している。

 「中国忠旺」の実質的な管理者である劉忠田(りゅう・ちゅうでん)氏は、かつて「アジアのアルミニウム王」と呼ばれ、2014年から2017まで中国東北部で最も裕福な人物であった。

 劉忠田氏が近年、しばしば市場に注目されているのは、米国が同氏を18億ドル(約2059億円)にのぼる巨額の脱税で告発しているからだ。「中国忠旺」は7つの発表を行って対応していたが、いずれも事実関係を明らかにしていない。

 米国司法省のウェブサイトとメディアの情報によると、劉忠田氏は6の支配下にある会社を通じて数年間にわたり大量のアルミニウムを米国に密輸し、累計で18億ドルの不当廉売関税(アンチダンピング関税)を逃れた疑いがある。米国は、同氏に対して合計24の容疑をかけており、すべての容疑で有罪となった場合、最高で465年の懲役刑が科せられる。

(翻訳・吉原木子)