北朝鮮の金正恩総書記(Kremlin.ru, CC BY 4.0, via Wikimedia Commons)

 脱北者が運営する韓国のニュースサイト「デイリーNK」の報道によると、北朝鮮の国境地域、両江道金亨稷郡(リャンガンド・キムヒョンジクグン)に住む一家4人が、中国との国境地帯の国境警備隊員に睡眠薬を飲ませてから、1日未明、中国と北朝鮮の 国境となっている川「 鴨緑江( おうりょくこう )」を渡って中国に脱出したという。

 この件が北朝鮮・国家保衛省に報告されると、同国金正恩(キム・ジョンウン)総書記は激怒し、2日に自ら「1号令」を下し、いくらお金をかけても、無条件に裏切り者を捕まえ、戒めとして厳しく処罰することを要求したという。

 情報筋によると、国家保衛省は中国共産党の公安と国境警備隊に、脱北者一家の逮捕に協力するよう要請する書簡を送ったという。

「1号令」はまた、民間人が兵士に薬を投与して逃走したことは、軍民関係を害する重大な行為だとし、国境の住民の思想を全面的に検討するよう要求した。

 情報筋によると、脱北した一家は国境警備隊の隊員たちとの付き合いが親密である。家族は、国境警備隊の副班長が1日未明に勤務するという情報を入手し、睡眠薬が入ったサイダーとパンを用意し、副班長らに渡した。副班長と一緒に勤務していた兵士にも、薬入りのサイダーとパンを配った。睡眠薬の入った食べ物を食べて、眠りについた国境警備隊の副班長が一家に閉じ込められたという。

 現在、同ニュースは地元で話題となり、国境地帯の緊張感が高まっている。

(翻訳・吉原木子)