アラブ首長国連邦(UAE)のムハンマド・ビン・ラシド・マクトム首相(State Chancellery of Latvia, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons)

 アラブ首長国連邦(UAE)のムハンマド・ビン・ラシド・マクトム首相は、かつてテロ対策で使用したスパイウェアを使用し、元妻のハヤー・ビント・アル=フセイン氏を監視していたことを、英国高等裁判所は6日、明らかにした。

 英高裁は6日、マクトム首相がイスラエルの情報セキュリティ会社のNSOが開発した「Pegasus」というソフトウェアを使用し、ハヤー氏の携帯電話を監視していたことを明らかにした。

 報道によると、「Pegasus」は本来、国家安全を脅かすテロリストに対処するためのものだという。しかし、近年、このソフトウェアが多くの独裁国家で購入され、市民運動家や政治的異論者を監視し、言論の自由を抑圧していることで悪名を馳せた。「Pegasus」が国家指導者の結婚問題に使われたのは初めて。

 ハヤー氏は、現在のアブドゥラ国王の腹違いの妹であり、04年にマクトム首相と結婚し、2人の娘を出産した。ハヤー氏とマクトム首相は2019年に離婚し、2人の娘を連れて英国に亡命した。ハヤー氏は現在、駐英国ヨルダン大使館で秘書を務めている。

 事件が暴露された後、NSO社はUAE政府との契約を取り消したが、詳細を明らかにしなかった。報道によると、スパイウェアの悪用は、英国の刑法にも、欧州連合の人権法にも違反したという。

(翻訳編集・吉原木子)