国際赤十字社(IRC)は23日、アフガニスタンの人々が情勢不安定、食糧危機、コロナの感染拡大という3つの脅威に直面していると述べた。国連世界食糧計画(WFP)は19日までに緊急援助資金がなければ、同国は早ければ9月に食糧不足に直面するだろうと警告した。

 IRCのグレゴリー・マシューズ氏は、アフガニスタンの政情不安、55万人の避難民、そして大干ばつ後の7月に政府が危機宣言を出したことで、食糧不足が高まっていると指摘した。さらに、コロナの感染拡大も、同国の医療システムを危機に陥入れている。世界保健機関(WHO)は23日、カブール空港が商業便の運航を停止しているため、重要な物資の輸送ができなくなっていると明かした。

 WFPのアフガンの事務担当のアンドリュー・パターソン副局長は、「アフガン人口のほぼ半分であらる約1,850万人が援助に依存しており、今年の干ばつやコロナ禍による社会経済的影響で、作物の約4割が失われたため、多くの家庭が必要な食糧を入手できない状況にある」と述べた。

 WFPによると、アフガンの3人に1人が飢えに苦しみ、子どもは200万人が栄養不良の状態にある。数十年にわたる紛争だけでなく、深刻な干ばつや新型コロナウイルスの感染拡大による貧困が原因だ。タリバンの進攻によって多くの人々が避難を余儀なくされ、食料不足に一段と拍車がかかる可能性がある。

 WFPでは、2,000万人もの人々が食糧を必要とし、9月までに現在の備蓄が不足する可能性があるとしている。アフガニスタンの人々を12月末まで支援するためには、54,000トンの食糧が必要で、食糧の購入には約2億米ドル(約220億円)が必要である。

 国際連合児童基金(UNICEF、ユニセフ)事務局長のヘンリエッタ・フォア氏も23日、アフガンでは約1,000万人の子供たちが人道的支援を必要としており、治療を受ける前に100万人が死亡する可能性があり、状況はさらに悪化すると予想されていると述べた。

 WHOの地域緊急局長であるリチャード・ブレナン氏は、電子メールの声明で次のように書いた。「世界の目は今、避難者と飛行機に向けられており、残された人々を助けるための物資を送り込まなければならない」

(翻訳・徳永木里子)