世界保健機関(WHO)は4日、新型コロナウイルス(中共ウイルス、SARS-CoV-2)に対する免疫力を高める目的で一部の国が3回目のブースター接種(追加接種、注)について、少なくとも9月末まで停止するよう求めた。また、ブースター接種が実際に効果があるかどうかはまだ調査する必要があるという。

 WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長は4日の声明で、高所得国では100人あたり100回分のワクチン接種ができるが、低所得国ではワクチンの供給不足により、100人あたり1.5回分の接種しか行えていないと述べ、先進国のブースター接種を停止するよう呼びかけた。

 また、WHOは2回のワクチン接種を受けた人にブースター接種することが、ウイルスの拡散防止に有効かどうかは、科学的に実証されていないと指摘した。

 WHOのワクチン責任者であるキャサリン・オブライエン博士は、「ウイルスが変化・進化し続けている証拠がある。しかし、ブースター接種が必要かどうかについて、一連のそろった証拠はない。最も弱い立場にある人たちに、関心を寄せる必要がある」と述べた。

 現在、イスラエル、フランス、ドイツをはじめとする多くの中東諸国で、ブースター接種が開始されている。感染力の高いデルタの変異株の出現を受けて、アメリカやイギリスなどもブースター接種を検討している。

 注:ブースター接種(追加接種)は、新型コロナウイルスのワクチン接種を終えた人の免疫をさらに強化するため、3回目の接種をすること。

(翻訳・吉原木子)