鄭州市の隣の新郷市の酷い状況(ツイッター動画のスクリーンショット)

 河南省鄭州市中牟県(ちゅうぼうけん)にある常荘ダムは20日、豪雨により午前10時30分から放水し始めた。下流の人々への予告なしの放水で、まもなく鄭州市の街全体が浸水した。特に鄭州市周辺の農村部ではさらに被害が大きく、屋根まで浸水した地域も少なくなかった。

 地元メディアの報道によると、鄭州市は20日に集中豪雨に見舞われた。上流からの水量が非常に多いため、鄭州市中牟県の常荘ダムは同日に決壊の危機にさらされた。同日午前10時30分、常荘ダムは下流に放水し始め、21時34分の水位は130.54メートルになり、洪水の限界より3.05メートルを超え、同日の最高水位から70センチ下がった。

 しかし、今回の緊急放水は下流の人々に事前に知らせておらず、一部は避難できず、大きな損失を受けた。特に農村部では、平野が浸水して逃げ場がなく、屋根まで浸水した地域も少なくなかった。

 屋上から動画を撮影をしていた女性は、周囲の洪水の様子を見せながら「見てください、この大きな洪水を、誰が助けてくれるのか」と無力感に満ちた声を上げた。

 新密市(しんみつし)下荘河村は完全に浸水し、人々は屋上への避難を余儀なくされ、水の中におぼれている人を助ける余裕もなく、泣き叫んだ。

 滎陽市(けいようし)汜水鎮も完全に浸水し、人々は水に囲まれた屋上に逃げ込んだ。中国の緊急ダイヤルである110番、119番にかけても繋がらず、絶望の中で助けを待つしかなかった。

(翻訳・徳永木里子)