アントニー・ブリンケン米国務長官(米国務省動画のスクリーンショット)

 ブリンケン米国務長官は、中国政府による人権派弁護士に対する「709弾圧」の6周年にあたる7月8日(中国時間9日)に声明を発表し、拘束・収監されている弁護士の釈放、家族への嫌がらせの禁止、弁護士資格を剥奪された人の復職などを求めたとボイス・オブ・アメリカ(VOA)が9日に報じました。

 ブリンケン長官は声明のはじめに「今年の7月9日、我々は2015年7月9日に中国当局によって不当に拘束、尋問、投獄された300人以上の弁護士および人権擁護者に敬意を表す」と述べ、そして現在も、新たな人権擁護者を逮捕し、弁護士資格の取り消しを続けていると指摘し、これらのすべての人を釈放するよう求めました。声明の最後に、「中国政府は、同胞のために法的救済を求めようとする弁護士や活動家を標的にしており、社会の安定と法の支配を損なっている」と批判したのち、 「米国は、より公正で安定した豊かな社会を築こうとする勇敢な人々を常に支援する」と表明しました。

 米ラジオ・フリー・アジア(RFA)の8日の報道によると、6年が経過した今、中国大陸の著名な人権弁護士は拘束されているか、声を消されているかの苦境に陥っています。 たとえ釈放されたとしても監視が続き、普通の生活を送ることはできず、 彼らは皆、人権派弁護士の道が閉ざされているといいます。

 同記事によると、北京の弁護士・王宇さんは2015年、最初の段階で逮捕されました。同年6月、王さんはジェノサイドの罪で江沢民を提訴する法輪功学習者への支持を表明していました。

 王さんはテレビで罪を強制的に認めさせられたことが数回あり、釈放され5年も経とうとしている現在も心の傷は癒えないといいます。そして毎日監視されており、公安などから嫌がらせを常に受けているため、正常な生活すら送れません。王さんはパスポートを申請することも許されず、国内の旅行先でも監視され、上海に行ったときは、逮捕され数時間も拘束されたと明かし、「これは単なる不公平の問題ではなく、完全に違法な行為をしている」と指摘しました。

 王さんは弾圧を受けた他の多くの弁護士と同様、弁護士資格を取り消されたのち、生きるために資格なしでもできる原告の代理人として働いています。それでも、当局から様々な脅迫と嫌がらせを受け、他の人より10倍の努力を払う必要があります。

 中国の法律の現状について、王さんは「中国の法律は花瓶のようなもので、見た目はきれい。しかしこれらの法律は権力のある部門や人を制限するために使われているのではなく、従わない人を制限するためだけに使われている。 特にここ数年、法治環境は悪化の一途をたどっており、中国政府の法律違反の現状は、その場にいないと分からないというのが実情だ。 私たち弁護士は、生存と仕事の場を求めて懸命に戦っているが、その場がどんどん狭くなり、息ができなくなりつつある。時には中国の法治が死んでしまったのではないかとさえ思うこともある」と語り、中国当局に希望を失っているようです。

(新時代Newsより転載)